岩手県八幡平市の安比高原に29日、イギリスの名門私立校によるインターナショナルスクールが開校しました。国際化の推進や経済の波及効果など、開校が岩手に与える影響は。

 「ハロウインターナショナルスクール安比ジャパン」。ハロウスクールは今年で創立450周年を迎えるイギリス・ロンドンの名門校です。中国各地やタイ・バンコクなどアジアにも進出していて、日本はこの安比校が初めてです。
 入学式は28日に行われ、29日、授業が始まりました。安比校はイギリスの教育制度にならい12歳から18歳までの7学年制で、日本の小学6年生から高校3年生にあたります。開校時の在籍数はアジアを中心とした12か国のおよそ180人です。
 ハロウスクールは豊かな人間性を育み、生徒たちが多方面で能力を開花させる「全人教育」を重視しています。たとえばスポーツが得意な生徒にロボット製作チームのリーダーを任せて潜在的な能力を引き出します。将来の人格形成やリーダーシップの発揮など生徒に最適なカリキュラムを個別に提供します。
 安比校の特徴はイギリスの本校以外で初めてとなる「全寮制」を採用していること。学年の違う生徒たちが縦割りのグループを編成する「ハウスシステム」で共同生活を送ります。男女あわせて4つのハウスが設けられ、小説や映画で有名なあの“魔法学校”のようにハウス対抗の試合なども行われます。

(ハロウ安比校 ミック・ファーリー校長)
「家族の皆さんや入学する生徒に最善の教育を提供するお約束が万端に整った」

 安比校のミック・ファーリー校長はハロウスクールのタイ・バンコク校の校長や東京のインターナショナルスクール設立に携わった経歴があります。ハロウの教育理念を実践する教員たちも各分野から優秀な人材がそろいました。このうち外国語を担当するクリスピン・チェンバースさんは母国イギリスの「教育界のアカデミー賞」を受賞しています。教員たちも今月、新天地での生活をスタートさせています。

 齋藤嘉賢(よしまさ)さん、華織(かおり)さん夫婦が経営する安比高原のカフェに、ハロウ安比校の教員たちも早速、足を運んでいます。

(齋藤嘉賢さん)
「(教員たちは)日本語をまだしゃべれないけれども一生懸命こちらとコミュニケーションを取るために日本語を片言で話してくれたりしている」

 齋藤さんの息子の水澄(みなと)君は言葉の壁を超えて一緒に遊んだと言います。

(齋藤水澄君)
「早く仲良くなって英語を覚えて話せるようになりたい」

 交流はすでに始まっています。

 安比校は八幡平市と県それぞれと連携協定を結びました。内容は教育や文化・スポーツの振興、地域資源の活用、国際化の推進などです。八幡平市役所には生徒の制服や紹介パネルが展示され、関心を寄せる地元の人も少なくありません。

(市民)
「人の流れがあればお金の流れも動くので八幡平市的には良いのかな」

(八幡平市企画財政課 田村大 秘書政策係長)
「ハロウのネームバリュー、ブランド力がかなり市にも効果があると思うので国際化を図っていければ」

 校長も次のように語ります。

(ミック・ファーリー校長)
「相互に相乗効果が生まれるような強靭な関係をこれから築き上げていきたい」

 安比校の規模は最終的に生徒およそ900人、教員・スタッフ200人の在籍が想定されています。岩手にもたらす影響に注目です。