舞台はオーストラリア・ゴールドコースト。男は華やかなスーツに身を包み、ルーレットでシャンス・サンプル(二者択一)の賭けに挑む—。ハリウッド作品のアクションドラマやクライム映画ではない、日本の医療ドラマでのワンシーンに驚きを感じた視聴者も多かったはずだ。
海堂尊の人気小説を原作に、2018年に放送された医療ドラマ『ブラックペアン』待望の続編として現在放映中の日曜劇場『ブラックペアン シーズン2』。シーズン1から引き続き主演を務める二宮和也が、6年後の物語として、渡海征司郎ではない全く別人の“悪魔”のような世界的天才外科医・天城雪彦を演じる。
ヘアスタイルも明るい髪色へと変わり、人も金をももて遊ぶ天城のキャラクターは、医療ドラマでありながら冒頭のシーンとも違和感なくマッチする。第1話は、カジノの賭け金を治療費として取り立てる天城を日本に連れ帰るよう、佐伯清剛教授(演:内野聖陽)が世良雅志(演:竹内涼真)にミッションを言い渡すところから始まった。
カジノ「ザ・スター」をはじめ、ブリスベン空港、サーファーズ・パラダイスまで…世界的人気観光スポット、ゴールドコーストで行われた10日間にわたる壮大なロケ。豪クイーンズランド州に位置するこの街で、テレビドラマ作品がここまで大規模な撮影を行ったのは今回が初めてだという。その舞台裏について、撮影に協力したカンタス航空 日本・韓国地区支社長 中山竜太さんから話を聞いた。
撮影機材は数百キロ 総勢70人の大移動
——今回、ドラマ作品に関わるきっかけは何だったのでしょう?
『ブラックペアン シーズン2』の第1話でゴールドコーストのロケを予定しているということで、お声がけいただきました。カンタス航空はオーストラリア最大の航空会社で、日豪間を結んで76年になります。第1話の舞台となったゴールドコーストに近いブリスベンだけでなく、シドニー、メルボルンでも毎日直行便を運行しています。今回本作とご一緒させていただくことで、オーストラリアやゴールドコーストの魅力をもっと知っていただき、オーストラリアのナショナルキャリアであるカンタス航空についても知っていただく良いきっかけになればという思いから、協力させていただきました。
——ロケでの予想外の出来事などはありましたか?
大規模なドラマ撮影のお手伝いをさせていただくのは、日本では初めてのことでした。今回のプロジェクトは、日本支社、シドニー本社と、ブリスベン空港も含め、多くの人が関わる一大プロジェクトになりました。現場では、マーケティング担当者が番組のプロデューサーと全体的なコーディネートを行い、細かい要件やリクエストをうまくまとめてくれました。その上で、手配担当者が出演者やクルーの皆さんのフライトの手配を行いました。大規模な撮影だったので、渡航する人数も70人程度とかなり多く、現地の撮影スケジュールが確定するのがギリギリのタイミングだったため、渡航日の調整を含め、かなり複雑な手配になりました。そして驚いたのは、数百キロに及んだ撮影機材の多さでした。機材を運ぶ際は、機体のおなかの部分に機材を搭載するのですが、スペースの確保や、重量によっては燃料なども関わってくるので、番組の機材担当者の方と、弊社の手配担当、空港担当が綿密にやり取りをする必要がありました。
——撮影現場でフォローしたことはありますか?
番組関係者の皆さんのフライトには通常のお客さまも多くいらっしゃるため、空港ではお客さまの搭乗に支障が出たり、運行に遅れが生じたりないように、社員が事前にチェックインの準備をしたり、オペレーションを細かく調整して、無事にスムーズに皆さんをお送りすることができました。ドラマにも出演した、二宮さんとセリフを交わしたカンタス航空のパイロットとクルーは、実際にブリスベンで乗務している本物のクルーなのですが、休日のところを快く出演してくれました。空港での撮影は、ブリスベン空港側が撮影のためにチェックインカウンターを特別に提供してくれるなど、本当に多くの人が関わったプロジェクトになりました。