■全数把握見直しの議論は“ナンセンス”? 分かれる自治体の判断に医療現場は

山形純菜キャスター:
新型コロナウイルス感染者の「全数把握」見直しをめぐって、自治体で意見がわかれています。
▼神奈川県 黒岩祐治知事(8月24日)
「今の事務量から比べると、相当負担軽減につながると思う。歓迎して神奈川県でも採用したい」
▼東京都 小池百合子知事(8月26日)
「一人一人の患者さんを大事にするという観点からも、当面、発生届の取り扱いについては現在の運用を続けていく」
ホランキャスター:
自治体によっては全数把握の見直しについて様々な意見があるようですが、医療の現場の皆さんからすると、全数把握についてどうお考えでしょうか。
森内浩幸教授:
全数把握というのは流行のフェーズによってその意義が違ってきます。例えばまだ感染者がそれほど出ていない、海外からの持ち込みを防がないといけない、市中感染を少しでも封じ込めないといけない。そういうときには全数把握してできるだけ色々な遺伝子の検査も行い、接触者も全員検査をしていき、そして長めに隔離をする。そういう対策が必要になってきます。
ところがもう流行の極期になってしまうと、まず全数把握はそもそもあてにならない、今の陽性率とかいろんなことを考えると今出ている数字で本当に捉えているとはとても保証ができないと思います。なまじそういう数字が1人歩きして安心してしまうことで、むしろ感染の拡大に繋がる恐れもあると思います。
なので、全数把握をするとかしないという議論がそもそもナンセンスで、本来は流行のどういうフェーズであれば全数把握をする、流行のフェーズがこのようになったら一旦やめるなどを決めるべきです。今はやめるべきときだと思いますけど、このあと流行が収まってまた次の流行が起こりそうになるそのフェーズになったら、全数把握の意義というのはまた出てくると思います。
国がそういう基準を定めた上で、それぞれの自治体でいま自分のところはどのフェーズにあるということを判断して動く、つまり、国はきちんと基準を全国一律に示すべきではあるんですけれども、地域によってもし実情が違うのであれば、そこの運用というものは変えるところがあると思います。ただ大事なことは、流行のフェーズによってそこは使い分けるということだと思います。














