村井知事も決めた新型コロナ感染者の「全数把握」の見直し。専門家は、「全数把握」は「やめざるを得ない状況」としたうえで、課題が出てくることも予測し、どうバランスをとるかがポイントだと指摘します。

東北医科薬科大学 遠藤史郎病院教授:
「(全数把握を)このまま続けていても、これだけの数があるとなかなか全部を処理しきれない」


東北医科薬科大学の遠藤史郎病院教授は、今の世の中の流れとして「全数把握」をやめることに矛盾はないと話します。

東北医科薬科大学 遠藤史郎病院教授:
「軽症(の割合が多い)、だから感染者が増えても許容しようということで、社会経済活動を回していっている方向性と、そういう方向性でありながら全部の患者を把握しようというのは矛盾している部分もあって、それが限界に来てのこと(見直し)だと思っている」


保健所や医療機関の負担軽減につながるメリットがある一方、デメリットが出てくる可能性も指摘します。

東北医科薬科大学 遠藤史郎病院教授:
「全数把握をやめて若い健康な人たちはフォローしないということになると、どこかで突然具合が悪くなる若い人たちが出てくる。患者さんたちは心配になってきて救急車を呼んでみたり、本来は自宅で療養しておかなくてはいけないのに、フォローの態勢がなっていないと、そのまま自分で近くのクリニックや病院を受診したりということはおそらく出てくるのではないか」


また、変異ウイルスの特徴を把握することについてもー

東北医科薬科大学 遠藤史郎病院教授:
「今BA.5ですけど、BA2.75が出てくるかもしれないというふうに言われている。全数把握していると、おそらく早く捕まえられて、特徴もある程度国内のデータから新しい情報を出せると思いますが、全数把握をやめてしまうと、そういうことも基本的にはできなくなる」


全数把握をやめた時に、県民や感染者の不安をできるだけ取り除けるよう模索していくことが求められます。

東北医科薬科大学 遠藤史郎病院教授:
「やってきた全数把握をやめるときに、理解が得られるようにやっていくかというのが一番難しいけど、そこがポイントだ。方向性として、インフルエンザと同じように持っていきたいということであれば、デメリットには多少目をつぶりながらやっていかなければいけない」