お盆を直撃した台風5号。自転車並のスピードで東北地方を横断。異例のコースをたどり、川の増水や道路の陥没などの被害が相次ぎました。
(8月12日「Nスタ」午後5時30分ごろの放送より)
台風5号 東北を横断中 青森県内では記録的な大雨になる見込み
青森県深浦町からの報告です。

午後5時30分現在、深浦町では雨は降っていませんが、気象台によりますと、夜のはじめごろにかけて雨雲が広がってくるとみられています。
青森県内はこのあと津軽地方を中心に記録的な大雨となる所がある見込みで、町の人は「昼より夜に大雨となる方が怖い。懐中電灯などを用意するが、落ち着いて眠れない」と不安を口にしていました。
深浦町では2022年8月に発生した大雨により、各地で冠水や土砂崩れが発生し、家屋が倒壊したほか、一部の地域が孤立状態となるなど甚大な被害が出ました。
台風5号は東北を横断して日本海側に入ったあと、北上して熱帯低気圧に変わる見込みで、その熱帯低気圧の影響が長引くおそれがあり、住民たちは不安な夜を過ごすことになります。
岩手県の各地で「観測史上1位」の雨量 気象予報士「14日~15日にかけて警戒を」
ホラン千秋キャスター:
特に雨による被害が多かったようですね。
広瀬俊 気象予報士:
場所によっては2か月分の雨が1日、2日で降ったようです。これからも大雨が続きそうなので、14日、15日にかけては警戒が必要な状況です。

井上貴博キャスター:
12日午後4時時点の48時間雨量は、▼岩手県久慈市下戸鎖で480ミリ(観測史上1位)、平年8月の2倍以上となっています。▼岩手県・大槌で312.5ミリ(観測史上1位)、▼岩手県久慈市山形で283ミリ(観測史上1位)となっています。想定を上回った場所もあるのでしょうか。
広瀬気象予報士:
ピンポイントでみると上回った場所もあります。
全体としては24時間で300ミリほどの雨量ですが、条件が重なるとその予想を上回ってしまいました。
井上貴博キャスター:
“雨台風”ということで今回は特に雨が心配されています。

広瀬気象予報士:
今回は東北の太平洋側から上陸しましたが、普段あまり台風の影響を受けることが少ないエリアです。8年前に岩手県に上陸した台風がありましたが、沿岸部ではそれを上回るような大雨となっている状況です。
8年前と3年前に東北の太平洋側に上陸した台風がありましたが、東北の太平洋側から上陸するというのは、やはり20年前、50年前ではありえないことです。台風の特徴を見ても、最近は天気の状況が変わっている、と感じます。
台風5号は、なぜ大雨になっているのか、「海洋熱波」と「ノロノロ台風」ということが影響しているのではないかと思います。
猛暑が続いており、2023年の夏の猛暑に暖冬も加わり、東北・北海道の南の海上は、海水温がかなり高くなっていて、それを海洋熱波といいます。海洋熱波が続き、雨雲が発達しやすくなっていて、スーパーコンピューターの予想よりも雨が強まっている状況です。
夏の台風の特徴でもありますが、台風5号は時速約15キロのスピードで進んでいます。時速15キロは、だいたい自転車で走るぐらいのスピードなので、湿った空気の流れ込みが続き、長い期間、大雨になって雨量が増えている状況となっています。