真夏の災害 熱中症に注意「人間がちょっと暑いくらい」は犬猫にとって大きな負担に
全国各地で40℃を超え、危険な暑さが続いています。この季節の災害は停電や断水に陥った場合、短時間で復旧すればよいのですが、長期間に渡った場合、注意しなければならないのが「熱中症」です。
きし動物病院 岸夏樹院長「犬や猫は体が体毛で覆われているため、人間のように汗をたくさんかいて体温を下げることができません。そのため、人間が感じる以上に暑さを感じています。人間が『「今日はちょっと暑いな』」ぐらいでも犬や猫にはかなりの負担になるので注意が必要です」
【犬とネコの熱中症の症状】
▼初期症状
・口を大きく開けてハアハアと荒い呼吸をする
・大量のよだれをたらす
・眼が充血している
・口の中や耳の内側がいつもより赤い
▼重症化すると
・ぼーっとしていたり、ふらふらしている
・ぐったりして舌が横から出ている
・下痢
・嘔吐
・初期症状と反対に舌の色が紫色になる
・けいれんを起こす
・心拍数が低下して血圧が下がり呼吸困難になる
きし動物病院 岸夏樹院長「症状には個体差があり、必ずしも順番通りに進行するわけではありません。重症化すると死に至ることもあるので初期段階で処置をすることが大切です。
しかし犬や猫は具合いが悪いのをぎりぎりまで我慢することも多いので気が付きにくいことがあります。飼い主さんの目から見て、少しでもおかしいなと思ったら病院に連絡してください」

【犬と猫の熱中症の応急処置】
・風をあてて冷やす
身体に霧吹きで水をかけ、扇風機やうちわで風を送り、気化熱を利用して体温を
下げる。濡らしたタオルで身体を覆うのも効果的です。氷水など冷たすぎる水は
逆効果になりますので常温のお水にしてください。
・保冷剤で冷やす
もし避難先などで手に入れることができるのであれば、タオルを巻いた保冷剤や
氷まくらを喉の部分(頭部に流れる血液を冷やす)や内もも、腋などの被毛が薄
い部分にあてて冷やしてください。
・水分をゆっくり飲ませる
少しずつゆっくりと水を飲ませる。スポーツドリンクなどがあれば3倍くらいに
水で薄めて飲ませましょう。
2024年は元旦に能登半島地震をはじめ、千葉県東方沖など全国各地で地震が発生し、“もしもの備え”について、考えさせられることが多くなっています。飼い主として大切な家族のために心構えと備えはしっかり行っていきたいと思います。
※1:環境省「東日本大震災における被災動物対応記録集」
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<プロフィール>
岸 夏樹さん
埼玉・東京の動物病院で勤務後
2008年清瀬市に「きし動物病院」を開院
米国画像専門医によるiVEAT主催超音波研修修了
米国腫瘍学専門医による基礎講習修了
米国整形外科専門医による基礎講習修了
獣医がん学会・循環器学会・麻酔外科学会所属