■ご先祖さま、車で帰る

家族とご先祖さまは、一緒に楽しくお盆を過ごし、そして・・・

ご先祖さまは、またあの車・精霊車(しょうりょうしゃ)に乗って帰っていくのだという。

住民はこう言った。

「こういう風習はどこでも同じだろうけど、だんだん廃れていく」

「自分もせがれがいるが、風習を残して教えていきたい」

軒下にぶらさがった車。この一見不思議な光景は、ご先祖さまを思う気持ちが、カタチになったものだった。

最後に、いつごろはじまったんですか?と聞いてみた。

「わたしらが生まれるまえから。ずっとやっている。・・・よくわかりません」

これもまた、いい。

誰となくはじめ、そして地域に広がった。まさに”風習”である。