犯行は「知人の女に金を融通するために行われた」
一連の裁判で、浮き彫りになったのは、和美被告と、知人の岡村被告の不可解な関係だった。
和美被告は、姉から奪った通帳で引き出した102万8000円のほとんどを岡村被告に渡している。
路上生活をしながら続けた売春で得た金は、その多くを岡村被告に送金した。20年間に5800万円にのぼる。
弁護側は最終弁論の中で「岡村被告にだまされて送金を続けていたとしか考えられない」とした上で「和美被告が岡村被告から搾取されていた被害者的な立場にあったことは間違いなく、情状として考慮されるべきである」と主張した。
この点について判決は、「犯行が岡村家に金を融通するために行われたもの」と指摘した。
しかし、岡村被告の存在を量刑上考慮することはなかった。
判決

「確かに、和美被告は、職場で知り合った岡村恵美被告に対し、20年間にわたって合計5800万円余りを送金しており、本件各犯行も、和美被告が岡村家に金を融通するために行われたことに照らせば、岡村恵美被告の存在が本件各犯行に与えた影響は否定できない。しかし被告人は岡村被告から脅されていたわけではなく、自らの意思で岡村被告との付き合いやホームレス生活を続け、借金や家族の問題から逃避していたことがうかがわれる。
岡村被告の思惑はさておき、岡村被告が自らの意思に反して岡村被告への服従を余儀なくされる立場にあったとは評価できない。
実際和美被告は本件各犯行に及ぶことを主体的に決断した上、自ら積極的に犯行用具を準備するなどしているのであり、本件各犯行、特に強盗殺人に関して、岡村被告との関係を量刑上特段和美被告に有利に考慮すべき理由は見いだせない。」














