植松聖死刑囚が障害者施設に侵入し、障害者ら45人を殺傷した「やまゆり園事件」の発生から8年。障害者の親として、面会を続けたRKB毎日放送の神戸金史解説委員長は、事件を風化させないための市民の集まりを取材し、7月30日に出演したRKBラジオ『田畑竜介GrooooowUp』で思いを述べた。8月12日には神戸解説委員長がこの事件をテーマに据えたドキュメンタリー番組がRKBテレビで放送される。

◆社会に大きな衝撃を与えた「やまゆり園事件」

神奈川県相模原市の「津久井やまゆり園」で障害者殺傷事件が起きたのが2016年7月26日でした。8年経ったわけですね。私は当時、RKB毎日放送の東京報道部にいて単身赴任中でした。事件で、ものすごく衝撃を受けました。

私の子供は、知的障害や、先天性の脳の機能障害・自閉症、他にも難聴などいっぱいあり、小さいころはなかなか大変でした。事件当時は17歳でまだ特別支援学校の高等部にいました。

やまゆり園事件を起こした植松聖死刑囚

相模原市の障害者施設の元職員・植松聖死刑囚(当時26歳)は、元の勤め先に侵入して、障害者など45人を殺傷。19人が亡くなりました。植松死刑囚は、重度の障害があってコミュニケーションをとりにくい人を「心失者」と名づけ、自首してきて「心失者には生きている価値がない」と供述しました。直前までやまゆり園に勤め、障害者の介助にあたっていた青年ですから、社会にも大きな衝撃がありました。

◆命に価値をつけて選別する「優生思想」

命に価値をつけて選別することを「優生思想」と言います。例えば、日本ではかつて、優生保護法を根拠として、障害者が子孫を残さないように不妊手術を強制した、という、非常に黒い歴史があります。これについては、障害者への差別思想が背景にあるとして、最高裁判所は7月3日、違憲だと判決を下しています。植松被告、まさに優生思想に染まった言動を繰り返し、そして死刑判決を受けています。いまだに考えを変えたということはないようです。