一つ一つを掘り下げると重層的な経緯を知ることができる
個人的に今、東京・帝国劇場で上演されているフランスのキャバレーを舞台にした「ムーラン・ルージュ」というミュージカルに関わっていることもあって、ここ2、3年はフランスのキャバレーに興味を持っていました。
キャバレーとは飲食を提供しながら踊りなどを見せる場所ですが、これはフランス発祥とされています。レディー・ガガの衣装も、キャバレー発祥国であるフランスに対するガガからのリスペクトが感じられました。
パリに観光旅行で行くとムーラン・ルージュ、クレイジーホースなどを見ることが出来ますが、その中でもリドという高級なところがあって、そのリドのかつての舞台衣装のアーカイブスを借りて使っていたそうです(リドはコロナ禍により2022年にキャバレースタイル終業)。
ひとつひとつを掘り下げていくと、テレビの中継で数秒、数十秒しか映らなかったようなものでもこんな重層的な経緯があるんだということを知って感動を覚えます。EUのモットーである多様性の中の統合という言葉がありますが、ショー全体としてはそれがよく表れていましたね。
他にも、例えば最後の晩餐のオマージュとしてドラァグ・クイーンたちが登場した場面がありましたが、こういった場面って発想はできてもスマートに見せるのはなかなか難しいものです。それができるエンタメ力がある国がどれぐらいあるのだろうかと思いました。
フェミニズムを強く打ち出すフランスの凄み
「参加することに意義がある」という名言で有名な、近代オリンピックの父と言われるクーベルタン男爵はフランス人です。一方で、フランスは100年間オリンピックを開催していなかった国でもあるんです。
クーベルタン男爵は当時、女性がオリンピックに参加することに反対していたそうで、今風に言えば「黒歴史」なのかもしれませんが、そういったモヤモヤを払拭するように、今回特にフェミニズムっていうのを強く打ち出していて、開会式にはフランスを代表する10人の色とりどりの女性像が登場しました。
特に最後に出てきたシモーヌ・ヴェイユは「ヴェイユ法」という中絶に関する法律の制定に尽くしたことで知られている人物で、映画にもなった人です。こういったものをスポーツの祭典の前にあれだけの尺を使ってやるというところが、僕はフランスという国の凄みだなと思いました。文化系と体育系というように値踏みするような日本の古い発想から一番ほど遠いとこにあるなと。














