オリンピックの二面性、葛藤の中で…

小川彩佳キャスター:
選手たちが奮闘している一方で、様々な物議を醸しているパリオリンピックですが、斎藤さんはオリンピックを見ていますか?

東京大学准教授 斎藤幸平さん:
全然見ていないです。わたしは反・五輪で、ボイコットしています。

理由は色々あって、あまり行きすぎた商業主義が好きじゃないというのもあるんですが、今回、私がオリンピックを見ない一番の理由にしてるのは、「スポーツウォッシュに加担したくない」ということです。

それはどういうことかというと、イスラエルの問題です。ロシアは今、戦争理由にオリンピックに出ることができないです。

ところが、国際司法裁判所のICJが、「イスラエルのやっていることはジェノサイドであり、占領政策自体も国際法違反だ」ということを勧告しているにもかかわらず、国際社会やオリンピック協会はイスラエルとしての参加は認めているというダブルスタンダードがあるんですね。

もし仮に、みんなが「盛り上がって、平和の祭典になってよかった」というふうになってしまったら、もしかしたらパレスチナ、ガザの人たちが忘れられてしまって、ジェノサイドを覚えている人たちがいないということに、私は少しでも抵抗したいなと思ってオリンピックは見ないようにしています。

小川キャスター:
平和の祭典をうたうのであれば、ダブルスタンダードはどうだったのか?

TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
確かにダブルスタンダードの面はあるんですが、そもそもオリンピックというのは二面性があると私は思っていて、例えば、商業主義というのはもちろんあるんですが、一方で、スポーツの純粋なメンタルももちろんありますよね。それからナショナリズムを煽るという面ももちろんあるんですが、それとは別に、国境を越えてたたえ合うという面もあったり。

確かに平和の祭典なんですが、実際の平和構築には無力であることも確かなんですよね。

問題はそういう葛藤の中で、少しでも良い方向に向けていこうと人々が努力していくことが尊いんじゃないかなと私は思っていて、今回はそういう努力がどこまで進んでいるのかなと思って、注目して見ています。

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<プロフィール>
斎藤幸平さん
東京大学准教授 専門は経済思想社会思想
著書『人新世の「資本論」』が50万部突破

星 浩さん
TBSスペシャルコメンテーター
1955年生まれ 福島県出身 政治記者歴30年