同僚の不審な行動を目撃 問い詰めるが…
2008年には、財団のイベント企画などを担当していた元同僚の男(56・詐欺罪で起訴)が、不審な行動をしているのを目撃。問い詰めると、元同僚は金を盗んでいたことを認めましたが、「金を借りて返す」などと答えたといいます。しかし、その数か月後、元同僚は再び財団の金庫などから金を盗み始めます。男は元同僚を再び問い詰めますが、しらを切られ、財団に金が不足していることを隠すために、不正な会計処理を続けました。
財団では、毎年5月に前年度の会計監査が行われていましたが、男は、預かり金から支払いの補填をしたり、財団の定期預金の解約・新規契約を繰り返して残高証明書を偽造したりして、監査を乗り切っていたということです。
そして2023年5月、金庫内の現金の不足が発覚しました。財団の事務局長が男に事情を聞いたところ、元同僚が金を抜き取っていたことや、自身の不正な会計処理を告白し、事件が明らかになりました。
その後、男と元同僚は、財団を懲戒解雇となり、男は在宅起訴されました。
元同僚は、休職処分中に、取引先から集金と偽って29万円あまりをだまし取ったとして、詐欺の罪で逮捕・起訴されています。
捜査機関が財団の職員らに行った聞き取りによると、男と元同僚は仲が悪く、2人で話しているところはほぼ見なかったといいます。しかし、男は部下から「金庫の金が合わないのではないか」と何度も指摘されても、財団へは報告せず、金の不足を隠し続けました。上司から業務を部下に引き継ぐよう言われた時にも、男は経理担当を譲らなかったということです。
約18年にわたって、1億4000万円もの不明金が隠し続けられていたこの事件。検察側は男を追起訴する予定で、次の審理は9月18日に開かれます。また、金を盗み取ったとされる元同僚の裁判は、7月29日に予定されています。