1億4000万円あまりの使途不明金が発覚している山口県の周南市文化振興財団で、経理を担当していた元職員の男の裁判が19日、山口地裁周南支部で始まりました。
約18年にわたって、計1億4000万円あまりの不足を隠し続けていた男。「自分が疑われるのでは」という思いから不正処理を始め、元同僚が金を抜き取っていたことに気付いても、黙認することを選択しました。
有印私文書偽造・行使の罪に問われているのは、周南市文化振興財団の元職員で、現在は無職の男(67)です。起訴状によりますと、男は2018年度から2021年度までの会計監査の際、財団の資産残高が財産目録よりも少ないことを隠すため、日付を消しゴムで消して書き換えるなどして、預金口座の残高証明書を偽造。正当な書類を装って、会計監査の監事に提出したとされます。
19日に山口地裁周南支部で開かれた初公判。シャツにスーツのパンツ、マスク姿で法廷に立った男は「間違いございません」と起訴内容を認めました。
検察側の冒頭陳述によると、男は1982年から、事件が発覚する2023年まで、財団の経理を担当していました。2005年ごろ、男は財団の金庫やレジから、現金が抜き取られていることに気づきます。2007年度末の決算時点では、すでに2000万から3000万円が不足していたということです。しかし、金銭出納帳を作っておらず、抜き取られた金の正確な額が分からなかった男は「経理担当の自分が疑われ、責任を問われるのではないか」「犯人を見つけ出して弁償させればよい」などと考え、不正な会計処理を行い始めます。