透明な海と、謎の古代海洋民族

船を自在に扱い、地中海をまたにかけた交易で栄えたフェニキア人…イビサ島にはフェニキア人の集落跡などの遺跡が残っていて、やはり世界遺産になっています。

バレアレス諸島のひとつイビサ島
イビサ島のフェニキア人の集落跡は文化遺産

こちらも番組で撮影しましたが、面白いのはやはり墓所。穴ボコだらけの丘があって、その穴ひとつひとつが墓の跡なのです。

イビサ島のフェニキア人の墓所遺跡

さらに地下にも墓所があって、内部には巨大な石の棺が残っていました。棺にはアフリカから運んできたダチョウの卵の細工品などが収められていて、さすが「海の民」という感じでした。

フェニキア人の地下墓所と棺
墓所などから見つかったダチョウの卵の細工品

イビサ島もマリンリゾートとして有名ですが、ポシドニアという海中で生育する植物が繁殖している海域があり、そこも自然遺産として世界遺産になっています。

イビサ島のポシドニア生息域

つまりイビサ島にはフェニキア人の遺跡などの文化遺産とポシドニアの海の草原という自然遺産があり、併せて「イビサの生物多様性と文化」というひとつの複合遺産として世界遺産に登録されています。

ポシドニアの「海の草原」は自然遺産
スペインの世界遺産「イビサの生物多様性と文化」

フェニキア人は古代ローマと地中海の覇権をめぐって争い、三度にわたる戦争=ポエニ戦争を起こしています。ポエニとはラテン語でフェニキア人のことです。第二次ポエニ戦争では、フェニキア人の都市国家・カルタゴの名将ハンニバルが大軍とゾウを率いてアルプスを越えて、イタリア半島に進軍。ローマを瀬戸際まで追い詰めますが、最後は敗北。そして第三次ポエニ戦争で、ローマはついにカルタゴを滅ぼし、地中海の覇者となったのです。