「地位協定を改定しようとすると深刻な対立を招くことになる」
米軍が絡む出来事では不可解なことや理不尽なことがままある。多くは日米地位協定によるところが大きい。日米地位協定は、言うなれば“日米安保に付随して定めたられた米軍特権”だ。戦争に負けた弱小国(日本)が勝者である大国(アメリカ)に一方的に守ってもらっていた時代に作られたアメリカ優先のルールだ。
地位協定によって定められた日米合同委員会は今も日本の各省庁幹部と在日米軍幹部とで定期的に会合が持たれている。
米軍や基地の運用などについて話し合われているというが議事録は原則非公開でブラックボックスだと言われる。この地位協定に関して専門家を取材したところこんな答えが返ってきた。
戦略国際問題研究所 クリストファー・ジョンストン氏
「日米韓でこれまで数十年に亘り日米地位協定を改定することは賢明ではないという合意がある。環境問題や刑事管轄権といった柔軟性に乏しい問題を再交渉しなければならないからだ。地位協定を改定しようとすると深刻な対立を招くことになる」

最後の言葉は日本にとって脅しのようには聞こえまいか…。現在の地位協定では“米兵には日本の法律でなく米国法しか適用されない”『旗国法原理』が用いられているが、実はアメリカもこれが“古臭い”と考えていると前泊教授は言う。
沖縄国際大学大学院 前泊博盛 教授
「国務省や国防総省の資料を見ても旗国法原理は古い、その国に行ったらその国の法に従う『領域主権論』っていうんですけど、ドイツやイタリアでも改定をしてそうしてる。ところが日本だけできていない。それができる官僚もいなければ政治家もいない。アメリカには歯向かわない方がいいって考えている政治家しかいないから変わらない」
かくして何も変わらない…、ままでいいのだろうか。
(BS-TBS『報道1930』7月17日放送より)