2027年完全自動運転実現へ 新たな輸送事業を開始

――T2の事業として一番面白いところは、自動運転トラックや自動運転のシステムを開発して売るということだけではなく、運送業そのものをやろうとしている。なぜなのか?

T2代表取締役 CEO 森本成城氏:
事故が起こった場合や問題が起きた場合に車側の問題なのか、運行側の問題なのか割り切れない、整理ができないという現状があると思うので、コンセンサスとかいろいろなことがあって、整備されることを待っている間に、既に「2024年問題」で危機が始まっていて、待っていたらどんどん遅くなるというところで「一旦は、我々は開発も、運送も、全部やってリスクを取っていって、いち早く始めて、物流危機に対して何かしらできるようにしましょう」という考え方でやっている。

――まず「全部リスクはこの会社だ」という形にした方がいいということか。

T2代表取締役 CEO 森本成城氏:
はい。それと事業化してこその技術だと思っているのでユーザー目線、運送会社の目線で技術開発とオペレーションを構築していきたい。それによって実際に事業として成立して、世の中の役に立ちたいという考え方がある。

――技術がテストコースで完成しても、どこでどんな形でトラックを止めたり、荷物を置いたり、積み替えたりするのが適切かというのはやってみないとわからない。そのために今いろんな会社と協力しているのか。

T2代表取締役 CEO 森本成城氏:
客もニーズも違う。そこまでやるからこそ、色々な株主・サポーターの方に集まってもらって本当に助けられている。

――このいまの「仲間づくり」(他社との連携)は、これから先も進めていかなければならないと思うが、まだどういうパーツが足りなくて、強化していきたいのか。

T2代表取締役 CEO 森本成城氏:
安全な車両をつくっていかなければならない。かつ2000台、3000台という大量の車を使うので、大量生産していくというところで、OEMやTier1 、Tier2。あとはオペレーションを本当にもっと強くして、物を運べるようにするという意味では、セイノーホールディングスに協力してもらっているが、他の運送会社にもどんどん入ってもらい盛り上げて欲しいと思っている。

――運送会社に東阪間はT2のサービスを使ってくださいという感じか。競合になるのではないか。

T2代表取締役 CEO 森本成城氏:
いいえ。(運送会社は)自社で運んでいる部分と下請けに出している部分がある。今後ドライバーがどんどん少なくなって下請けができるところも減っていく。その中で我々は、できない部分を入っていくというので、コンペティター(競争相手)ではなく、傭車として使ってくださいということだ。

――つまり「大手運送会社の東阪間運送の下請けとして使ってください」という意味か。

T2代表取締役 CEO 森本成城氏:
はい、そういうことだ。

今後のT2の計画。2024年に「実証実験の走行区間を拡大」、2025年に「輸送事業開始(レベル2自動運転)」そして2027年に「レベル4 完全自動運転での輸送事業開始」、2029年に「事業黒字化」、2031年「トラック2000台規模でオペレーション」となっている。

――2025年には輸送事業をレベル2で始めたいというが、なぜレベル2で始めるのか。

T2代表取締役 CEO 森本成城氏:
いきなり2027年のレベル4で始めたら、無人で10tトラックが走っているとびっくりされる。その中で2025年にレベル2でまずドライバーが乗っている状態で始めて皆さんに安心してもらう。社会受容性を高めていくということと、技術開発だけではなく運送事業までやろうとしているので、この2年間で運送会社としての足腰を鍛えていくということを考えている。それとオペレーションもいろいろ試していく。

――そして最終的には2000台ぐらいのオペレーションをしたいと。事業を黒字化するには何百台ぐらい必要?

T2代表取締役 CEO 森本成城氏:
大体3、400台ぐらいだと思う。ある程度大きくならないと経費がカバーできないので、スケールメリットを取って黒字化していく。

――2000台までいくと、日本の物流危機に対応できるのか。

T2代表取締役 CEO 森本成城氏:
2000台でオペレーションしたとしても、35~6%運べなくなるという内の5%しか満たされない。なので我々のような事業者や自動運転だけでなく、いま「2024年問題」に対応している人たちが頑張って、この36%をどういうふうに埋めていくか、どうみんなで協力するか、これからもっと考えなければならないし、我々としてもやりたいと思っている。

(BS-TBS『Bizスクエア』 7月6日放送より)

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<プロフィール>
森本成城氏(46)
T2代表取締役CEO
三井物産でモビリティ関連事業投資・経営を経験
自動運転トラック幹線輸送サービス実現に挑む