『東京都』も見直し求める、ふるさと納税の課題とは?

ここまで、ふるさと納税の制度について説明してきたが、そもそも『東京都』は制度に参加しておらず、制度の抜本的な見直しを国へ求めている。

くわえて、東京都は2025年度の『国の施策及び予算に対する東京都の提案要求』で、現在の「ふるさと納税」をいわば「官製ネットショッピング」とも指摘していて、返礼品競争により、ふるさとを応援するという寄附本来の趣旨が損なわれている、とのこと。

また、先に出たワンストップ特例を利用した場合は、国の税収になる「所得税から控除せず」、自治体の収入になる「住民税から控除」される点についても問題点を指摘している。

というのは、地方交付税交付団体の場合、ふるさと納税による減収額の75%が地方交付税により国から補てんされる仕組みだが、地方交付税の不交付団体にとっては、ふるさと納税による住民税の流出分は純粋な減収となるためだ。

このふるさと納税の制度により、東京都における都民税(住民税)減収額は年々増加し、2023年度の減収額は675億円になったとのこと。

そのほか、東京都の特別区長会では「政治・経済・文化の中枢として日本を牽引してきた東京の役割を考慮せず、地⽅の財源不⾜を補うために税収の移転を図るもの」として、制度の廃⽌を含めた抜本的な⾒直しを求めている。

ただ、失われた税収を少しでも取り戻そうと、東京都内の特別区では、ふるさと納税の受け入れを始めた自治体もある。