オス・メス…その見分け方は?

ーオス・メスを区別するには、どこを見たらよいでしょうか。

(大野さん)
「蚊のオスとメスの一番簡単な見分け方は触角を見ます。触角は英語で『antennae』と言います。2本あるので複数形ですが、ラジオやテレビなどのアンテナと同じ綴りです」

ヒトスジシマカの触角(メス)

(大野さん)
「蚊の場合、オスの触角が少しふさふさしています。蚊は1秒間に800回も羽ばたくことができ、その空気を震わす風切り音が独特の…プーン…という音です」

オスの「ふさふさした触角」

「このふさふさした触角【画像参照】は、メスの羽音を聞き取ってプロポーズしに行くために発達しています。ヤブカやイエカの仲間は種類によりますが、オスはせっかちにもメスに空中でプロポーズして、成功すると飛んでいる状態で交尾を行います」

「しかも、実験ではヒトスジシマカのメスは2時間で10回も交尾をしたそうです。こうして交尾を終えたメスの蚊は血を吸いに人に寄ってきます。お母さん蚊は、産卵のための栄養を取るために命も顧みず私たちに戦いを挑んできます」

「一生のうちに数回は産卵できるのですが、産卵前に毎回吸血に来ますので、ベテランお母さん蚊は私たちの血を吸うために、ほかにも触角は音で障害物を認識したり、エサのにおいを感じたりすることもできるようです。真っ暗闇でも獲物に正確に近づくための大切な器官です」

(大野さん)
「ところで、オスとメスの見分け方は触角、とお話ししましたが、蚊はとても小さいですし、なかなか止まってくれません。私も飛んでいる状態での見分けはできないので、蚊だと思ったらパチンとたたいてしまいます」

「そして、叩いた蚊をよく見たらオスだった、というくらいの気づきです。あぁ、お前はオスだった、血を狙いに来たわけではなかったのか、人(蚊)違いだったか、みたいな。やはりぱっと見での見分けはなかなか難しいですね」