ゴミ捨て・騒音・暴走…クルド人と市民の軋轢

しかし、川口周辺のクルド人は、様々だ。クルド人が多い地域に住む奥富精一市議のもとにはゴミ捨てなどの苦情が寄せられてきたという。案内してもらった事務所近くの公園にはクルド人が使うトルコ語の看板がいくつもあった。「ごみ出しはルールを守って!」と書いてある。
奥富精一 川口市議
「ひどいときは白物家電が置いてあったりですね、引っ越し前、そのシーズンになると箪笥が置いてあったりとか、しょっちゅうです」
それだけではない。生活での騒音や乱暴な運転、それに集団での喧嘩などが問題になっているという。奥富市議は、一部の市民の声をこう代弁する。
奥富精一 川口市議
「一生懸命挨拶もきちんとできるとか、そういう子もいっぱいいるんですよ。だから一緒くたにクルド人全体が悪いという風には地域の人も思っていません。ただ、地域の不安が恐怖のレベルに達しています。そうなると『もう外国人はお断りだよ、結構だよ』というふうになっちゃうわけですよね」
地域の不安解消へ クルド人の「見回り」

チョーラクさんたちの団体は、そうした市民の不安を解消しようと10年ほどある活動に取り組んできた。初夏のある日の夜、集まったのは川口市内のトルコ料理店の前。ベストの背中には「防犯パトロール」と書いてある。
チョーラクさん
「きょうはパトロールします。ゴミ集めて、まわりみて問題あるかないか」
談笑はなし。体格が良い男性たちが黙々と街路のゴミを拾いつつ、クルド人の迷惑行為がないかに目を光らせる。
繁華街の店の軒先で雑談をしていた同胞に声をかけた。
チョーラクさん「ほら、立って。立って下さい」
クルド人男性「私たちも掃除しているんですよ…」
チョーラクさん「この缶は持って帰って下さいね。空なら私たちがもっていきますよ」
男性たちはちょっと不満げな様子でその場を後にした。見て回るのは繁華街だけではない。車で向かったのは、クルド人が多い地域のコンビニ。1つの場所は10分ほどで、次から次へと進むので私たちはついていくのに精一杯だ。ある店にたどり着くと、店の人からこんな相談を持ち掛けられていた。

コンビニの店員「昨日デカいトラックが駐車場に止まっていて。持ち主さんがどっかいっちゃって…」
チョーラクさんの仲間「その写真取ってメモして、今度うちきたとき…」
チョーラク「メモ見せればうちが全部話するので」
問題を起こしたクルド人を探しだして注意することもあり、見回り先でのトラブルは減っているという。チョーラクさんは夜の公園でもタバコの吸い殻や空き缶を拾いながら、こう語った。
チョーラクさん
「いつもやったときも『ありがとうございます』って日本人に言われる。『クルド真面目にやっている』と」
クルド人と市民との軋轢は以前からあったが、クローズアップされたのはここ数年のこと。クルド人のコミュニティが形成され、日本社会に溶け込まずとも一定程度生活できる環境ができたからだとみられている。この「見回り」は、日本人社会とクルド人コミュニティの溝を埋める役割を果たそうとしているが、その思いとは裏腹に、川口のクルド人の問題はいま過激なヘイト行動につながっている。














