富山市のリバーリトリート雅樂倶のレストラン「トレゾニエ」。
その自家菜園ではシェフがおいしさの秘密だというこだわりの液体をまいていました。
記者:「シェフ、いままいていたのは何ですか?」
トレゾニエ・田中シェフ:「熟成させた魚の液体肥料です」
記者:「魚で肥料を作っている?」
田中シェフ:「はい」
なんと、捨ててしまうはずの魚の内臓やアラを熟成させ、自家製の肥料を作っているのです。

田中シェフ:
「これは朝さばいたアマダイであったりだとかサバであったりとか。全部まとめてバケツに入れて肥料にします」「これは買ってきたもの、これは魚屋さんで白エビを剥いたときに出た殻。もったいないので入れています」
「未利用魚」とよばれる、規格外などの理由で市場に出回ることのないものも、肥料のために仕入れています。

田中シェフ:
「そもそも廃棄になる魚なんかないと思うんですよね。未利用魚というのは結局僕らが使い方が分からないだけであって。『未利用魚』って名前があんまり好きじゃないというか。未利用魚なんてのはいない」
今までなら生ごみとなってしまう魚を使った肥料ですが、本当に効果はあるのでしょうか?

田中シェフ:
「これは苗から育てたんですけど、こっちは種から育てた。でも種をまく前に魚の肥料を土に混ぜ込んでから植えたんです。そうしたら(苗から育てたものと)成長が一緒になりました。それくらい栄養がすごいんだと思います。茎もすごく太いんです」

田中シェフの経験から肥料の効果は抜群。魚に含まれる栄養素のおかげで丈夫且つ旨みたっぷりの野菜に育つといいます。
おいしさを追求しながらも食の未来を見据えた姿勢が評価されレストラン「トレゾニエ」は、サステナブルと美食を併せ持つ証、「ミシュラングリーンスター」を獲得しました。

トレゾニエ・田中逸平シェフ:
「おいしい一皿を作ろうと思ったら、よいものが必要になってくるので、それを追求していったら、野菜はやっぱり自分たちの考えで作ったほうがよいと思った。化学肥料を使って作ってしまうと、おいしくないって言ったら語弊があるんですけど、体に良くはないのかなと思って。自然なものを使っていたらそれ(液体肥料)がもし流れたとしても、川の魚も海の魚も自然は保たれていく」
「トレゾニエ」の料理にはシェフのおいしさへのこだわり、そして、持続可能を意識した素材への愛情がたっぷりつまっています。