2日目の決勝では「48秒1~2台が目標」と豊田
レース後の豊田は開口一番、48秒36の自己記録を出したゴールデングランプリ(以下GGP)を参考に走ったことを明かした。
「前半をGGPと同じように少しゆっくり入り、後半で(相対的に)上げていくレース展開ができました。GGPよりもだいぶ余力を残して走ることができたので、最後は流す余裕みたいなものもありましたね。そういうレースができたのは初めてなので、成長を感じられました」
ハードル10台を越えていく種目。1台毎の通過タイムを以前のレースと比較ができる。慶大短距離ブロックの高野大樹コーチの計測では、2、3、4台目の通過はGGPとほぼ同じ。5台目から8台目までは今回の方が僅かだが速かった。それでも余裕を持てていたのである。
8台目までは13歩のインターバル歩数を、9台目で15歩に切り換える。歩数が増えることに疲労が加わり、速度が下がる区間である。今回は決勝に力を残す目的で流したため、GGPとの比較でもタイムは落ちていったが、それでも自己記録と0.26秒しか違わなかった。
レベルの高い記録を出したのにもかかわらず、「48秒6くらいを狙っていた」と豊田は言う。「ウォーミングアップでも力感を出さずに良いタイムが出ていたので、調子は良いんだろうな、と思いました。予想通りというか、(今の状態に合った)ちゃんとしたレースができたかな」
2日目の決勝は「ケガなくしっかり優勝して(五輪代表)内定を決める」ことが一番の目標だが、記録も「48秒2台、1台は狙って行きたい」と言う。パリ五輪本番でも準決勝を勝ち抜けるタイムを、新潟で出しておくつもりだ。
2人は3日目以降の種目をどう意識しているのか
豊田は110mハードルの予選と準決勝を3日目に、決勝を4日目に走る。前日会見では「13秒27の五輪参加標準記録を突破したい」と話した。標準記録突破と2着以内に入ることで、パリ五輪代表入りが可能になる。初日の予選の結果で、2日目の400mハードルは力が1つ抜けていると思わせた。110mハードルに余力を残す選択肢もあるが、豊田は400mハードル決勝で全力を出すと言う。
「3日目、4日目のこともありますが、まずは明日です。タイムを狙うことと勝負に勝つことは、しっかり狙って行きます」
田中は豊田以上に、後半日程がハードになる。800m予選と5000m決勝を3日目に、800m決勝を4日目に走る。
「明日が当たり前のようにあると思わず、今日の予選で落ちるかもしれない覚悟を持つことで全力で走れたと思います。明日以降も、それが尻すぼみにならないように、種を大事に開花させていくように、じっくりと過ごす4日間にしていきたい。8月(パリ五輪)の準備になるようなレースにはしたいのですが、当たり前に権利(代表)が取れるとは思わないことが重要です。逆に権利を落としてもいい、という覚悟で攻めのレースをすることが、結果的に8月にもつながっていくと思うので、そこを意識して頑張りたいと思います」
表現の仕方は違うが、2人ともその日に走るレースに集中する。それが複数種目の代表を狙う最善のスタイルと言えそうだ。
(TEXT by 寺田辰朗 /フリーライター)

















