視野を広げ、気づきを得た混合デュエットへの挑戦

――男女平等は競技の世界でもだいぶ変わってきているんですか。

小谷実可子氏:
はい。パリオリンピックが男女平等がフィフティ・フィフティになる記念すべき大会です。今まで男性が多くて、いかにそこに女性を増やしていくかだったじゃないですか。我々のアーティスティックスイミングは逆で、今まで男性が加われなかった。そこにパリからついにオリンピックとしては初めてチームの中に男性が2人まで入れるっていう、男性に扉が開かれた記念すべき大会になります。いくつの国が男性を入れてくるかはちょっと未知数ですけれども、可能性としては男性が出られるようになった。

2024年2月、ドーハで行われた世界マスターズ水泳選手権に初めて男性とペアを組み、混合デュエットで出場。見事、金メダルに輝いた。この挑戦で得た気づきとは。

小谷実可子氏:
最初は男女平等の種目なんだよっていうことを言いたいと思って始めたんですが、練習が始まったらそんなことはどうでもよくて、もう楽しいんです。一緒に泳いでいても、隣でパワフルな男性がブワッていくとスピードが高まって一緒につられるし、水中でリフトしてもらっても、今まで経験したことのないような高さまでパーンと出るので気持ちいいと思うし。大変なのは、水の中で水をかきながら演技するんですけど、力強く隣の人が水をかくので、私がかく水がなくなっちゃって、水を取り損ねて巻き込まれたりとか、女性同士では経験しなかったような気づきが毎日あって、何か新しい種目に挑戦しているみたいで楽しいです。

練習に行くにも女性ばっかりだと多少汚い格好でも、起きたままの頭ボサボサな格好でも、どうせ水に入るしっていう感じなのに、やっぱり異性と練習するとなるとそれなりに身だしなみを整えて、水着も見苦しくない水着をちゃんと着て臨みましょうっていう最低限の気遣いというか、身だしなみみたいなものを持つし。男女平等って男女に平等に権利を与えましょうというよりは、男女がいることでそこが楽しくなったり、気づきが広がったり、相手を思いやったりっていう、何か練習場所が豊かになるなって。

視野も広がるな、気づくことも多いな、これが男女が一緒にいるっていうことなんだなっていうことを今回経験させていただき、だから男女平等なんて四字熟語ではなく、男も女もいると楽しいよっていうものが広がっていくといいなと思います。

――確かに男女平等って言うと、まだ男と女を分けたうえで同じ高さという感じで、交わっていないんですね。

小谷実可子氏:
権利を与えて一緒にいるっていう感じじゃないですか。今までは国内で男性選手が参加できるようになりましたと言っても、男子の更衣室がなかったので、トイレで着替えたりっていう時代から、今ナショナルトレーニングセンターのアーティスティックスイミングのプールも男性の控え室だとか更衣室ができたと聞いたので、やっと今、と思いましたけれども、まずはそういうところからですよね。

――最後に、今日のお話を振り返ってどうですか。

小谷実可子氏:
いろんな思いのたけをお話させていただきましたけれども、「マスターズの挑戦も自然体になって本来の小谷実可子に戻っているんでしょうね」って言っていただいたことには、本当にその通りだと思いましたし、これから続けていきたいこと、もっともっとやっていきたいことがおかげさまで整理でき、やるべき未来っていうのがまた見えてきました。

(BS-TBS「Style2030賢者が映す未来」2024年6月16日放送より)