ヒットのカギは絶妙な「情報小出し戦略」
そして、専門誌が今注目するPR方法、2つ目は「ティザー」。
「ティザー」とは、「焦らす」という意味で、敢えて情報を隠し、ちょっとずつチラ見せして期待感をあおるというもの。
ドラマ『VIVANT』や映画『君たちはどう生きるか』、さらに世界7か国以上で公開された映画版スラムダンク『THE FIRST SLAM DUNK』などの大ヒット作品を生み出した広告手法です。
月刊『宣伝会議』谷口編集長
「情報が溢れ、若い人はタイパも重視し、自分に関係ない情報はどんどんスルーしないと生きていけない時代に、期待感の醸成は難しい。でもそこでうまく成立させるとヒットにつながる」
「ティザー」広告を成功させるカギは、絶妙な“情報小出し”戦略。
キリンビールでは、新商品の発売2週間前から「名前もわからない」「パッケージも見せない」広告を展開し、過去15年間で最高売り上げ(※ビール類新商品)を記録する大ヒット商品『晴れ風』を生み出しました。

CMでは商品名を完全に隠すわけではなく、出演するタレントの背後に、文字のほんの一部分が見えるように映し出す。これが想像をかきたて、SNSでは「名前予想合戦」になるなど大盛り上がり!答えが知りたい空気ができたところで大々的に会見を開いて発表したのです。
しかし、この「ティザー広告」には、大きなリスクもあるといいます。
月刊『宣伝会議』谷口編集長
「すごく期待をあおっただけに、商品の満足度が低いと、ネガティブなブーメラン効果が発生する危険性はある」
情報を隠したものの、全く話題にならない可能性もあるので、キリンビール・マーケティング部の向井優夏さんも「これでコケたら…もう会社行けない」と不安だったと話しますが、今のところは大ヒット!「まだまだこれからです」と、更なる戦略に目を向けていました。