100年は帰れないと言われ…

浪江町の西、赤宇木地区。原発事故で帰還困難区域となり、人の立ち入りが厳しく制限されています。住民はいまも、住むことができません。

今野義人さん「それを書いておかなければ忘れてしまう、忘れられてしまう地域なのかなと思ったから…」

白河市に避難する今野義人さん(80)。19年間、赤宇木の区長を務め、この4月に退任しました。原発事故の後、10年にわたって、住民への聞き取りや古い資料の収集を進め、記録誌を完成させました。制作の過程で、体調を崩すこともあった義人さん。制作のきっかけは、震災直後の住民説明会で聞いた言葉でした。

今野義人さん「環境省の方だったと思うんだけど、100年は無理だろうなっていうふうな返事が返ってきたんですよね。そのときに、私は100年後と思ったらば、地域、自分たち部落はどうなるのかなって」

今野義人さん

100年は帰れないと言われたふるさとのかつての姿を紙に残し、将来に託すことを決めました。

今野義人さん「この地域の営みとか文化とかをどのようにつなげていけばいいのかなと思った時に、記録に残すしかないなと思って」