「役者はわざと濁してゆく」柳検校をリアルに表現し百閒の世界へ誘う
ー今回の朗読会では、高松市在住の箏奏者、木村西葉さんが作品にも登場する「残月」を唄い演奏するほか、雷鳴や雨風を箏で表現するなど物語の世界を彩ります。
(原田大二郎さん)
「百閒は親友の宮城道雄に箏を習い、相当の腕前だったといいます。『磯辺の松』には箏の音色が絶対によく似合う。立体的な舞台になると思います。
そして、役者が朗読するということは、人間を浮き彫りにするということです。アナウンサーが一言ひとことを誠実に朗読するとしたら、役者はその逆で、わざと濁してゆく。そうすることで立体的な人間像を描いてみせることが役者の仕事なのです」
ーかつて、三島由紀夫が「磯辺の松」を傑作と評しています。百閒のふるさと・岡山で朗読するお気持ちは?
(原田大二郎さん)
「岡山は私にとってもふるさとのような存在の街で。明治大学に通っていた頃、岡山大学に通う友人がいて、帰郷するときに岡山で合流して、一緒に郷里の山口へ帰るとか、昔からよく来ていたんです。同じ中国地方ということで言葉も似ているから、兵庫県から岡山県に入ったらもうふるさとに帰ったような気がしていましたね。
そんな岡山で私が百閒を朗読するのは初めてですから、ぜひ聴きにいらしてほしいです」

「原田大二郎 内田百閒と平家物語を読む」は、岡山市北区中央町の蔭凉寺で6月9日(日)14時から開かれます。
料金:2500円(当日3000円)
【問合せ】蔭凉寺 Mail: inryoji@mac.com TEL 090-1003-1481