■3年ぶりに夜空を彩った 横浜2万発の花火

みなとみらいスマートフェスティバル2022で打ち上げられた花火

「大切な人と存分にお楽しみください!」

その声とともに打ち上げられた花火。

8月2日(火)、横浜で開かれた花火大会「みなとみらいスマートフェスティバル2022」。2019年以来、3年ぶりに横浜の夜空を花火が彩った。平日の夜にも関わらず多くの人で賑わった会場で、音楽とともに25分間で2万発が打ち上げられた。

2019年と大きく異なるのは、多くの見物客が着けているマスク。花火が打ち上がる直前まで感染対策のアナウンスが幾度となく流された。楽しい思い出にできるように、という配慮があったのだろう。

2020年の夏、新型コロナの影響で多くの花火大会が中止になった。第7波になり、花火をたくさんの人に見てもらいたいが、新型コロナの感染を広げるわけにはいかない、そんなジレンマは今も続いている。各地の花火大会運営団体は開催自体をどうするか、開催するのであればどういう形で行うのか、それぞれの開催・中止は割れている。

みなとみらいスマートフェスティバル2022で打ち上げられた花火

三大花火大会の開催状況

新潟・2022長岡まつり大花火大会
2022年、8月1日~3日で開催
※2019年以来、3年ぶり

栃木・第91回土浦全国花火競技大会
2022年は検討中
※例年は毎年11月の第一土曜日 開催、開催であれば2019年以来3年ぶり

秋田・第94回全国花火競技大会 大曲の花火
2022年、8月27日 開催
※2019年以来、3年ぶり

関東圏の花火大会の開催状況

東京・第47回江戸川区花火大会
2020~2022年は中止

東京・第45回隅田川花火大会
2020~2022年は中止

東京・第44回 足立の花火
2020~2022年は中止

横浜・みなとみらいスマートフェスティバル2022
2022年、8月2日に開催
※2019年以来、3年ぶり

■100年以上の歴史で初めて…異例の2年連続中止を越えて

秋田・全国花火競技大会「大曲の花火」で打ち上げられた花火(大曲商工会議所 提供)


日本三大花火大会といわれる中の一つ「大曲の花火」。今年は3年ぶりの開催に向けて準備をする商工会議所の担当者に話を聞いた。

大曲商工会議所 花火振興事業部 担当
「花火大会の運営自体、大会の観覧席の料金で全てをまかなっている。それが中止になるということはかなり痛手でした。花火職人の皆さんからも『なんとかできないか』という声が上がっていましたし、私たち自身もなんとか開催したかった。一方で当時は地域住民などから、開催に対してネガティブな意見もあり、感染拡大の懸念が2020・2021年は今よりも根強かった。開催する・しないの判断をするというのはかなり難しかったです」

今回で94回を迎える「大曲の花火」。現在の名前になる前の大会も含めると、100年を超える歴史があるという。その歴史の中でも2年連続中止というのは異例だった。

大曲商工会議所 花火振興事業部 担当
「100年以上の歴史の中で災害などで中止になることはあったが、戦後2年連続で中止になるということは初めてでした。開催の方法についてもこの2年間で摸索し、今はコロナに対する世間の認識がかなり変わってきていること、地域の理解を得られたことで今回の決定に至りました。古くは疫病退散の想いも込められて打ち上げられていたこともあり、今上げないでいつ上げるのかと、もどかしい2年間でした」

秋田・全国花火競技大会「大曲の花火」で打ち上げられた花火(大曲商工会議所 提供)


国や県からの特別な要請がなければ、今年の「大曲の花火」は開催される予定。その中でコロナ対策を意識して運営するということは初めての経験という。

大曲商工会議所 花火振興事業部 担当
「100年以上の歴史の中で培われてきた様式とコロナ対策を両立させるのは新しい挑戦です。私たちもできる限りのことをしようと花火大会を催す自治体の方々と情報共有をしてきました。基本的な感染対策から、人と人の間隔を取るために客席レイアウトの変更しています。客席全てを指定席にし、参加者の連絡先も控えさせていただき、18万人だった会場を11万人に制限して対応する予定です。この2年間は無駄ではなかった、きっとそんな大会になると信じています」