年金支給を遅らせたいのも理由?
もう一つよく言われているのが、年金支給を遅らせたいのではないか、ということです。現在、国民年金・厚生年金は基本的には65歳からもらうことができますが、先行きは厳しい状況です。年金を受け取る高齢世代は増えていますし、一方で年金を支払う現役世代は減っているので、若い人たちの負担を増やしてきましたがそれでも足りない状況だとよく言われています。2019年の財政検証では、2050年ごろには支給水準が2割下がる見通しだとされています。
今年度の年金支給額で見てみると、物価と連動しているので、額面としては前年比2.7%上がっていますが、物価変動率は3.2%上昇(今年度の参考指標)で、実質的には減っています。
ただ、支給を減らしてきたので、実は年金財政は以前よりは少し好転していると、経済評論家の加谷珪一さんは話しています。そのため今回の高齢者年齢の議論についても「支給を遅らせるのが大きな狙いではないのではないか」としています。
そこで“本当の狙い”について聞くと、加谷さんは『高齢者の貧困問題』への対応だと答えてくれました。年金の支給額を減らしているということもあって、高齢者層こそ貧困問題が今後深刻化するのではないかということです。