9つの会社がひしめく市内のバス路線を再編 利害がぶつかり議論は暗礁へ

中心となって取り組んだ職員にこれまでの経緯や思いを聞きました。

税金を投入しなければならない理由があると熱弁します。

(岡山市理事・交通政策担当 平澤重之さん)
「これからどんどん高齢化が進んでいって、自家用車が運転出来ない人が増えてくる、そういった中で、移動手段としての公共交通の重要性、必要性はどんどん高まってくる。行政が関わることで(バス路線)を維持していく必要があるんじゃないかなと思いますよね」

思いを語るのは岡山市の公共交通を担当する、交通政策課のトップ、平澤重之さんです。平澤さんはことし2月、9つの会社がひしめく市内のバス路線の再編計画をとりまとめた中心人物です。

(岡山市理事・交通政策担当 平澤重之さん)
「市役所の職員としての仕事の中では、最も大きな仕事の一つ、重要な仕事の一つになったと思います」

路線再編はどのようにまとめられたのか。発端は6年前でした。

(両備グループ 小嶋光信代表)
「両備バスは全36路線中の18路線、岡電バスは全40路線中の13路線の廃止届を提出致しました」

両備グループが発表した31もの路線の廃止。きっかけは経営の屋台骨である黒字路線の西大寺線に八晃運輸の循環バス「めぐりん」が参入を届け出たことでした。国が参入を許すならほかの赤字路線は維持できないというのが両備の主張でした。

困惑したのは利用者です。

(玉野市在住の女子高校生・当時)
「友達から聞いたんですけど、バスなくなるらしいよって言われて。岡山の学校に出られなくなるから、進路も狭まってくる」

(岡山市理事・交通政策担当 平澤重之さん)
「それは非常にショッキングな出来事だった。なんでそんなことするんだろうとは思いましたね」

結局、問題提起をしたことで一定の成果はあったとして路線廃止は取り下げられます。しかし、このまま利用客を奪いあう状況が続けば、共倒れの恐れもあると、岡山市は路線再編に向け、協議の場を設けました。しかし…

(両備グループ 小嶋光信代表)
「まずコンセンサス(意見の一致)が出来ていない事業者同士で再編をしろって言ったってそれはとてもじゃないけど難しい」

(八晃運輸 成石敏昭社長)
「『事業者間の協力を』といわれるのであれば、そこらへんから交渉していただきたい」

利害がぶつかり、議論は暗礁に乗り上げます。岡山市が示した再編案も厳しい批判にさらされました。

「われわれは100年前から会社を経営している」「素人の行政に何が分かるのか」

(岡山市理事・交通政策担当 平澤重之さん)
「非常に悔しいというか、残念な思いだったですよね。その当時は本当に僕らは一生懸命考えてやったんで、なんでオレたちが言っていることが理解してもらえないんだろうという思いはありましたよね。協議会の議論では、常に反対意見をどんどん言われてましたからね。夜目が覚めて、そのことを考えたりすることはよくありましたね」