原告の悲痛な訴えは司法に届くのでしょうか。旧優生保護法のもと不妊手術を強制された人たちが、国を訴えた一連の裁判で最高裁での審理が29日、始まりました。宮城県在住の原告の女性は、最高裁の大法廷で「全ての被害者が救われるような判決を」と訴えました。

宮城県に住む原告の飯塚淳子さん(仮名)と佐藤由美さん(仮名)の義理の姉、路子さん(仮名)です。29日朝、最高裁への入廷を前に思いを語りました。

原告の飯塚淳子さん(仮名)と佐藤由美さん(仮名)の義理の姉、路子さん(仮名)

宮城在住の原告 飯塚淳子さん(仮名):
「長かったです。何度か死のうと思った時もあった、苦しいから。でも頑張ってきました。今回が最後なので、良い判決であってほしい」

宮城在住の原告佐藤由美さん(仮名)の義姉・路子さん(仮名):
「最高裁には、仙台高裁の判決はあれで良かったのか(と問いたい)」

1948年から1996年まで存在した旧優生保護法。知的障害がある人などに対し一定の条件を満たせば、本人の同意なしに不妊や中絶の手術ができるとされていました。

飯塚さんらは2018年、国に賠償を求め提訴。仙台地裁と続く仙台高裁は旧優生保護法を違憲としたものの、飯塚さんらの訴えは認めませんでした。民法により20年間と定められている賠償請求ができる期限を過ぎていると判断したからです。

しかし、飯塚さんらの提訴を契機に訴訟は全国に広がりました。

そして、29日、最高裁は、上告中に至った仙台や東京など全国5つの裁判について、原告らに意見を聞く弁論の機会を設け、統一判断を示すための審理を開始しました。