障害などを理由に不妊手術を受けることを強制した「旧優生保護法」。10代のとき、知らぬ間に不妊手術をされ、長年、妻にも打ち明けることができなかった男性が29日、最高裁の法廷に立ち被害の深さを改めて訴えます。
「悪いところがあるかもしれない」と病院に連れていかれ…

北三郎さん(仮名・81歳)
「(歩くのは)まだ億劫ではない」
こう語るのは、都内に住む北三郎さんです。
一人暮らしとなった生活を彩ってくれるのは、趣味の造花だといいます。
北三郎さん
「手先が器用で、これはいけるなと思い、無我夢中で作っていたら、こういう風になった」

北さんの人生が大きく狂ったのは、14歳の時だと話します。
北三郎さん
「もうどうでもいいやって。道外れて悪い方面に突入しちゃった」
家族と折り合いが悪く、学校で喧嘩も絶えなかった北さんは、中学1年の途中から児童福祉施設で暮らすことになりました。
ある日…
施設の職員
「悪いところがあるかもしれない」

突然、施設の職員にこう告げられ、病院に連れていかれました。
麻酔を打たれ、意識は朦朧。気づいたときには、下半身の痛みで歩けなくなっていました。

騙されて不妊手術を受けたのです。
北三郎さん
「万感の怒りですよ。恐ろしくなって施設を早く卒業したかった」
60年ほど経った2018年、報道をきっかけに、それが「優生保護法」に基づいたものだったと知りました。
旧優生保護法 第一条(一部抜粋)
「優生上の見地から不良な子孫の出生を防止する」

戦後まもない1948年から1996年までの48年間続いた旧優生保護法では、障害のある人などに、本人の同意のないまま不妊手術をすることを可能としました。

北三郎さん
「(自分には)障害も何にも別にないのに、なぜやるのか。全部調べて戦ってやるという気持ちだった」














