今、三陸の海に異変が起きています。「旬の魚」が激減し、マダイやサワラなど本来暖かい海に生息する魚の水揚げが急激に伸びています。三陸の海で何が起きているのか? 岩手県釜石市で取材しました。
(釜石市地域おこし協力隊・清原拓磨さん)
「春の三陸ではぜったいに獲れないイカです」
(記者)
「何というイカ?」
(清原さん)
「コウイカというイカですね」
釜石の地域おこし協力隊員で魚の食育などに取り組んでいる清原さんを驚かせたのはイカの仲間「コウイカ」。生息域は本来、茨城県沖から南とされています。
(清原さん)
「黒潮が北上してくる秋ごろには少しの量は見られたんですけどこの時期に、きょうは少な目ですけどまとまった量が獲れることは無いこと」
釜石市魚市場では、これまでほとんど獲れなかったマダイやチダイなどのタイ類が2024年、記録的な豊漁になっています。5月上旬だけでタイ類の水揚げは2023年の同じ時期の約16倍、過去5年平均の約53倍という異常ともいえる量です。
一方で、例年この時期に獲れていたサクラマスなどの姿はほとんど見られません。
(水産関係者は)
「スルメ、シラスそういうものが少しづつ漁が減って今年に限っては見えない魚種もあります」
水産関係者によると、この傾向は3年ほど前に、始まったという事です。市内の鮮魚店では、「旬の魚」を求める客の注文に応えられず、苦慮しています。
(東鮮魚店・八幡雪夫さん)
「魚がないことには商売にならないし、元々今獲れなければいけない魚がないから大変ですよね」
タイ類が突然、豊漁になったその原因は?
(県水産技術センター漁業資源部・小川元部長)
「獲れてる市場を見ますと大船渡と釜石が中心ですので北上している黒潮続流の流れにのって本県沖に分布していると考えています」
例年この時期、千葉県の犬吠埼の沖で、東へ向きを変えるはずの暖流の黒潮がそのまま北上。北海道・襟裳岬沖まで、張り出しています。この海流は、「黒潮続流(くろしおぞくりゅう)」と呼ばれます。県水産技術センターは、この傾向が続く可能性が高いと予測しています。
(県水産技術センター漁業資源部・小川元部長)
「これまで本県には分布していなかった魚が獲れ始めていますので南の方の魚を獲る漁法を導入して何とか漁船漁業者の方々に収入を増やしてもらいたいと考えています」
従来の魚種の不漁による影響が懸念されますが、一方で、タイ類に加えブリやサワラなど、「南方系の魚」の漁獲量が、軒並み増加傾向に。今後、タイ類などの、鮮度を維持する技法や加工品の開発を通して、新たな収入源としての活用が期待されます。
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