才能開花は地域とのつながり
この日、正広さんと京子さんはある場所へ向かいました。桂島新一さんの自宅です。

出会いは正広さんが小学校2年生のとき。特別支援学校のスクールバスを待っていた正広さんに、通学路の見守りボランティアをしていた新一さんが声をかけたのが始まりでした。

母・鈴木京子さん:
「距離を置かないで、むしろおじいちゃんおばあちゃんのほうから積極的に関わっていただけていたので本当に。しかもスクールバス(乗り場で)毎日で、身内よりもよっぽど毎日会っていたので。血はつながっていませんが、正広君にとっても大好きで大切な存在だったと思うし、親にとっても本当にありがたい存在ですね」
教員も務め多くの子どもたちの成長をそばで見守ってきた桂島さん。地域の温かい繋がりが正広さんの中に育まれた芽を伸ばしました。
友達や先生の笑顔が溢れる1枚「みんなでおはなみ(2019)」。桜をモチーフにした作品は、5年前に桂島さんの自宅の庭で描いた1枚です。

正広さんは、大好きなお母さんとやり取りをしながら楽しかった思い出をキャンバスに描いていきます。1つの作品を仕上げるのにはおよそ2週間かかります。

母・鈴木京子さん:
「お店に並んでいるショーウィンドウの色々なものがこの人にとっては全部キラキラに見えるみたいなんですね。全部キラキラで素敵な空間にこの人には見えていると思います」

桂島新一さん:
「全部障害でなくて、何かいいところがあるんだね。進み方は遅いけども着実に、人間は必ず良くなっていくというかね。楽しみは未来にあるという感じだね」