孫に背中押され久しぶりに筆をとった認知症のおばあちゃん

新聞の題字を担当したのは、吉松露乃さん(85)さん。認知症を患っており近頃は大好きだった習字も書くことがなかったが、孫の拓也さん(29)に背中を押され、久しぶりに筆をとり時間をかけて題字を書き上げた。

「ばあちゃん新聞」の題字を書いた吉村露乃さん(85)

露乃さんの孫・拓也さん「寝たきりじゃないですけど最初はもう全然元気なかったので、やる気を失ってた時期にこれをやることでまだいろんなことできるなっていうのが、いいきっかけになりました。謝礼もいただいたので、家族揃ってラーメンを食べに行きました。」

「ばあちゃん新聞」の題字を書いた吉村露乃さん(85)

スタンフォード大学の長寿研究者も注目

「うきはの宝」の取り組みはメディアでも多く取り上げられ、大熊さんの元には全国から講演会やビジネス支援の依頼が殺到している。

海外から見学者が訪れることも珍しくない。この日迎えたのは、スタンフォード大学の長寿研究所でポッドキャストのホストを担当しているケン・スターンさん。「仕事と健康」について研究・発信しているそうだ。今回、「うきはの宝」を取材するために来日し、おばあちゃんたちにインタビューした。

海外メディアから取材を受けるおばあちゃんたち

ケン・スターンさん「なぜここで働き続けているのですか?」

内藤ミヤ子さん(88)「得ることが多いと思いますので。それでまた生きがいを感じながら働いております」

ケン・スターンさん「”IKIGAI”という言葉には、何か深い意味があるようですね?」

國武トキエさん(77)「喜ばれる喜び。喜ばれる喜びを感じられればそれが生きがい」

高齢の女性たちがエネルギッシュに働いている姿を見て、長寿研究者ケン・スターンさんは衝撃を受け、「仕事」と「長寿」には大きな因果関係があることを確かめることができたという。「うきはの宝」の事例をポッドキャストで世界に発信する予定だ。

「生きがい」と「報酬」あれば世界はもっと幸せになれる

「うきはの宝」社長 大熊充さん「高齢者を隅に追いやるとか老害だとか言わず、多くの世代が協力して働いて経済活動していかないと、超高齢化社会が抱える問題は乗り越えていけない。これが広がっていくことで最終的に暮らしが良くなってくると思います。」

内藤ミヤ子さん(88)「歳を取っても学ぶことはたくさんありますよ。可能な限り働いてピンピンコロリで逝きたいです!」

先進諸国の高齢化は進む一方で、どの地域も同じような悩みを抱えている。「うきはの宝」のように、おばあちゃんたちが持つポテンシャルを活かし、高齢者が「生きがい」と「報酬」を得られるチャンスが増えれば、世界はもっと幸せになるかもしれない。