「民間企業のシェアが大きくなってくると共産党がコントロールできなくなるという懸念」
中国で“建国の父”といえば毛沢東氏だが、“近代化の父”といえば鄧小平氏だ。
80年代から改革開放路線を歩み約35年かけて世界第2位の経済大国を築き上げた。
これに対し毛沢東思想への回帰とも取れるのが習近平思想だ。つまり全てを共産党主導で推し進めようとする体制だ。この動きに「中国が何故改革開放をせざるを得なかったかといえばソ連スタイルの(社会主義)経済が上手くいかなくなったからなのに、中国はもう一度ソ連化に向けて動き出した」と語るのは呉軍華氏だ。
日本総研 呉軍華 上席理事
「ソ連化経済の最大の問題を2つに集約すると、一つは国有企業。全体国有…。もう一つはソフトな予算の制約。会社の経営が上手くいかなくてもつぶれない。この二つでソ連・中国・東欧みんなダメになったんです。それを中国が改革して、80年代国有企業を縮小して民間企業を拡大。それに伴って予算のハード化…民間企業ですから。それで経済全体として生産性が高まって…。グローバル化で輸出が大きく伸びて経済がここまで来たんですね(中略)でも民間企業のシェアが大きくなってくると共産党がコントロールできなくなるという懸念が生まれてくるんです…」

宮本雄二 元駐中国日本大使
「習近平思想は党の方針で党規約に入っている。それを正面から反対はできない。しかし習近平氏が最も難しかったのは経済なんです。イデオロギー中心でやってきたのでが外交や安保はそんなに祖語はなかった。しかし経済は現場がすぐに結果を出すわけです。うまく行くか行かないかは習近平思想でなく、どういう政策を取ったらどういう結果が出るかということなんです。しかし官僚に聞くと経済立て直しのためにやりたいことをやらせてくれないと…かたや経済を回復させろと言われ、そうじゃないことを求められるというんです」
党の力を保つために、かつて失敗したソ連的経済路線を歩もうとする中国…。
若者が“しなくなること”が、10個では済まなくなるかもしれない。
(BS-TBS『報道1930』5月6日放送より)