通常、ドラマのセットの窓外背景には写真パネルや白い幕が使用されているが、今回使用されているのは、ドイツ製の世界最大の布プリンターで印刷された巨大な布だ。横幅約10m以上ある布に、実際のロケ地から見える風景が印刷されている。

「窓の大きいセットにすると、パネルだとどうしても作り物っぽくなってしまいがち。どうしてもそれを避けたくて、この大きさのセットに最適な方法を調べていたら、ドイツの印刷会社にたどり着きました」と、楽しそうに準備期間を振り返る二見氏はこう続ける。

「窓以外の部分は裏側を黒くプリントしているので、後ろからライトを当てると、写真の中のビルの窓も夜景のように光ります。普通なら昼と夜でパネルを差し替える必要がありますが、その手間もなくなりました。海外では使用事例があるのですが、ここまで窓外のクオリティーにこだわったセットはおそらく日本で初めてかもしれません」。

布に印刷された写真自体もロケ先のビルから見える景色と全く同じ。「セットの窓からもロケ先と同じ風景を見せることで、僕たちがいる同じ東京という場所で起きている出来事ということを表現しています」と、現実世界とのつながりを意識したセット作りについて語ってくれた。

「ロケなどで実在の風景と撮影をするほうがリアルに撮れると思われるかもしれませんが、ドラマの世界観はセットだからこそ作り込めるもの」と二見氏は語る。職人の技で作られた世界観に、どっぷり浸かってみては。