かつて、消滅するかもしれないとされた北海道の小さな町で、若い移住者が増えています。そこには未来を見据えたまちづくりがありました。
北海道十勝地方に位置する上士幌町。大自然に囲まれ、広大な土地を生かして行う畜産や農業が盛んな町です。
緑豊かな町内を走るバスをよく見てみると…
記者
「ハンドルを操作する運転手がいないですね」
自動運転バスです。車内には対話ができるAI車掌を全国で初めて導入。いまは安全を確認するオペレーターが乗車していますが、将来的に完全な無人運転を目指しているといいます。
さらにこの町では、日本初となるドローンの配送事業を実施。
町民
「この辺、1日遅れの新聞配達だったのですが、きょうの新聞がきょう届くようになって、かなり便利になりました」
配達に関わる人手不足の解消です。
オシャレなカフェが併設された道の駅で使われている電気はというと、大量の牛のふん尿を発酵させ、ガスを取り出し、発電されたもの。資源を循環させ、余すことなく使う取り組みが行われています。
これらの最先端技術を活用したまちづくりを行う影の立役者は、平均年齢が30代というゼロカーボン推進課です。
ゼロカーボン推進課 佐藤泰将 課長
「役場内でも全然SDGsとはなんぞやの状態だった。まずは役場職員の理解、町民の理解促進ということで、積極的に力を入れている」
例えば、彼らが発案したまち独自の「SDGsポイント」制度。まちの清掃などに参加するとポイントが付与され、町内で1ポイント=1円として利用できます。
町民
「楽しみのひとつ。買い物にも繋がっていく」
実は、10年前には「将来、消滅する可能性がある自治体」と指摘された上士幌町。しかし、今では最先端技術を駆使するなど、まちの魅力を発信しつづけていることから、人口減少に歯止めがかかりました。
さらに若い人を中心に移住者も増えているといいます。
その背景にあるのは、未来を見据えた「手厚い子育て支援」。全国に先駆け、いち早く、こども園の無償化や高校生までの医療費無料に取り組んできました。また、去年からは子どもひとりにつき100万円のマイホーム建設費の助成も。
幼児教育支援コーディネーターとして働くこちらの女性は、横浜から夫婦で移住してきました。
幼児教育支援コーディネーター 左近千皓さん
「町全体で子どもたちを見守って、育てているようなところがすごく手厚い」
左近さんは「これからも家族とこの町に住み続けたい」と話します。
こうした持続可能なまちづくりを進めてきたこともあってか、先週の発表では「消滅可能性自治体」のリストから脱却。町長は…
北海道・上士幌町 竹中貢 町長
「2014年から10年経ちました。思いっきり、この間に(町は)変わっている。いまやっていることを徹底して磨いていくことが、この町の生きる道」
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