専門家「もう一度危機感高めて」

消滅可能性自治体を発表した人口戦略会議のメンバーである慶応義塾大学の樋口美雄名誉教授は、「今の状況が続いた場合、2100年には日本の人口がほぼ半数になる」として、「社会全体で人口減少問題への関心を高めていくことが重要だ」と指摘します。その上で、若者の流出を抑えるための対策が必要だといいます。

慶応義塾大学 樋口美雄名誉教授

慶応義塾大学 樋口美雄名誉教授:
「10年前に消滅可能性自治体を発表し、その後、自治体の取り組みが本格化していない。もう一度人々の関心、危機感を高めたいという目的で調査した。これまでの自治体の活動をみると、東京や近くの大都市への流出を食い止める社会減対策が中心となっている。自然減対策も進めなければ国全体として人口減少の歯止めはかからない」

「昔は女性は地元に定着し、男性が流出していたが、女性の社会進出により今は女性の流出が目立つ自治体が多くなっている。例えば女性が大学進学などでその町を離れるということがあっても、再び戻りたいと思える町にしていくことが大切です。活躍できる仕事や子育て環境の整備など、行政だけでなく企業や家庭を含めた社会全体の取り組みが必要」

今回改めて浮き彫りとなった人口減少問題。国や自治体が単純に予算を投入するだけではない、住民に寄り添った対策が急がれます。