「幻のトラ」撮影に森の中で一週間…

2013年に撮影に成功したベンガルトラ

チトワンにはインドサイ以外にも絶滅危惧種が多く、特に「幻のトラ」といわれるベンガルトラが生息しています。チトワン最強の捕食者で、食物連鎖の頂点に立つトラ。かつて、ここはネパール王室の狩猟地で、大規模なハンティングが行われたことなどから、トラの数は一時、25頭にまで減りました。現在でも生息数は、ネパール全体で350頭あまりという超貴重なトラです。しかも夜行性で単独行動するため、その姿を撮影するのは至難の業といわれています。

尿をかけてマーキングするベンガルトラ

番組「世界遺産」では、2013年にチトワン国立公園でベンガルトラの撮影に挑み、成功したことがあります。足跡や糞などベンガルトラの痕跡を追って、森の中で一週間。ついにその姿を捉えました。体長2メートルほどのトラ。悠々と歩き、木の根元に尿をかけてマーキングするところまで撮影できました。

ベンガルトラにインドサイ、貴重な映像を撮影するチャンスを番組に与えてくれたチトワン国立公園。ここは、まさに「絶滅危惧種の宝庫」としての価値が認められて世界遺産になった地です。

執筆者:TBSテレビ「世界遺産」プロデューサー 堤 慶太