「もう限界だって、払えないからもう1年半で帰っちゃう」
都内で催された留学希望者を集めたフェア。およそ1000人が集まった。海外で学ぼうと考える学生にとって“円弱”は身近にして切実な問題だ。参加者に話を聞いた。

「本当はアメリカに行きたいんですけど、やっぱり円安とかの関係でお金に制限がある中でカナダとかイギリスだとちょっと値段が抑えられるかなぁと…。自分の将来が狭まらない程度に相場が動いてくれたらなぁ…。自分たちが動きたいときに動けるような環境が欲しい」(語学留学を希望する大学生)
留学先の選択に円安が影響しているという現実。フェアを主催した留学ジャーナルの調査によれば、今年のアメリカ留学の費用の目安は、4週間の短期留学で約69万円(5年前の1.4倍)、1年間の留学では約590万円~740万円(5年前の1.3倍)と、円安の影響などを受けて膨らんでいる。
今年2月までロンドンに留学していた女性は、留学を途中で断念する学生の姿を見てきた。

「(向こうにいた時)“1ドルいくら、今日はやばいよ”とか皆敏感に見ていました。もうちょっと払えないっていう限界が来てしまって、そうなると生活を楽しめない。ただお金を気にしちゃって…。これじゃ留学じゃないって…。そう思っちゃう人は途中で帰国しちゃう。私の友人にもいた。もう限界だって、払えないからもう1年半で帰っちゃう…」(元留学生)
留学フェアの主催者も円安の影響は深刻だと話す。
『留学ジャーナル』加藤ゆかり代表取締役
「(予算の都合で期間を短縮する人がいる)そうすると本当は学位が取れるとか資格が取れるというのが残念ながらそこまでできないというのがありますね。アメリカ一辺倒だった分野も他の地域に流れたりとか、新しいところでアジアとかが留学先というふうになってきている」
こうした現実に対し、“円弱”は日本の将来の国力を損なうことにもなると、ニュース解説の堤氏は話す。

ニュース解説 堤伸輔氏
「長いこと“円弱”政策を続けたことが日本を後進国にしてしまっていると思わなければいけない。今、日本は半導体で世界の最先端に戻っていきたい、日の丸の半導体を作りたい、でもそのためにはアメリカの大学に行って最先端の研究をしなければいけないわけですけど、その人たちが例えばカリフォルニア大学は1年間授業料だけで680万円かかります。外国人の理系の学生が、例えば修士課程に入ろうとしても行けないですよね、よほど家庭が裕福であるとかでないと。将来の研究者も育てられなくなっている。それはこの先の国力を今の“円弱”が損なっているということになります」