子供の歯科治療は「過剰治療になりやすい」

実は、小児の歯科治療をめぐっては「過剰治療」になりやすい構造的な問題がかねてから指摘されています。歯科医師の数はこの40年で約2倍に増えました。一方、少子化で子どもの数は減少、さらにむし歯になったことのある3歳児の割合は8分の1に減りました。

また、今の医療保険制度では、歯を削るほど高い診療報酬が得られるしくみがあります。歯を1本削った場合、歯科医師が得る保険点数は120点(1200円)です。その後に詰め物をする処置まで含むと、315点(3150円)になります。一方、削らずに進行止めの薬を塗った場合は、3本までは一律に46点(460円)なのです。
そして、小児の場合はさらに利益が大きくなる構造があります。6歳未満の場合、歯を削る治療の診療報酬は大人の1・5倍になるのです。「子供の治療は難しい」という理由からです。