先駆者との出会い
松村さんは去年、県が主催する起業塾を受講しました。そのなかで出会ったのが東京工芸大学名誉教授でソーシャルデザイナーの福島治さんです。

東京工芸大学名誉教授・ソーシャルデザイナー 福島治さん
「アートを通しながらちゃんと人と人との心がつながるっていうことをたくさんぼくは経験してきました。ですので単なる絵ではなくとても大切なコミュニケーション手段なんですね」
福島さんは障がいのある人の個性を活かしながら、革新的なサービスや商品を創り、社会への参加や収入支援などの事業を展開しています。県内でもこれにならった取り組みで、障がい者や家族、支援員、企業や地域、社会全体にも福をもたらす。それが七福アートです。
アートレンタル「自由な発想を社内に」

松村さんは3月、周南市の企業を訪ねました。港湾荷役や運送業務を営む周南市の「京瀧」。オフィスと応接室には、大阪の障がい者が描いた絵が飾られていました。アートレンタルです。七福アートに登録した作家の作品から、1年分を選んでもらって3か月ごとに掛けかえます。企業にとっては手軽に始められることや、絵が変わることで社内の雰囲気も変わるというメリットもあります。

京瀧 京瀧崇久社長
「無機質なものしかない部屋だったんですけれども、ものすごく自由な発想で固定概念にとらわれない絵がそこにあるっていうだけですごく気持ちが和らぐっていうか。みんな心が余裕が生まれました」
思いがけない気づきもありました。
京瀧 北嶋雪子さん
「お花がかわいいとか犬がかわいいとか、あれ、違うかわいいだねっていう感じで、ちょっとしたほほえましい瞬間があったりして。仕事の話しかしていなかった人ともあ、こういう感じ方されるんだなっていうことを知れてちょっと近づけた感じがしたので」
松村さん
「作家さんご本人にその思いが届いてすっごく喜んでくださってるそうです」
京瀧社長は障がい者の支援になると同時に、社員が多角的な考え方や手法を編み出す上で、有効な手段になり得ると考えています。
京瀧社長
「本当に自由だなって思うだけでたぶん脳って柔らかくなってくると思うので、やっぱり今世の中っていろんなルールに縛られてるじゃないですか。ルールに縛られないものを会社に置いておく、リベラルアーツを日常の風景の中で示していけるいい手段だなとも思ってます」