夏にオリンピック・パラリンピックの開幕を控えたフランス・パリで課題となっているのが、バリアフリー対策。車いすユーザーとともに、その実態を取材しました。
記者
「こちら観光名所の凱旋門なんですけれども、真下にある地下鉄の駅に降りるには階段を使うしかないんです」
オリンピックの開会式だけで、およそ30万人が集まると見込まれるパリ。魅力あふれる街並みの一方、バリアフリーが課題と言われます。
取材に協力してくれたのは、パリ郊外に住むフランク・マイユさん。
フランク・マイユさん
「(車いすユーザーにとって)パリである地点からどこかへ移動しようとするのは不可能とまでは言いませんが、とても、とても難しいです」
実はマイユさん、過去、パラリンピックに出場したことのある元スイマーです。今回、最寄り駅からパラリンピックの開会式が開かれるコンコルド広場まで一緒に行ってみることにします。
まずは、パリと郊外をつなぐ列車でシャトレ駅まで向かいます。比較的新しい路線のため、すべての駅がバリアフリーだといいます。
フランク・マイユさん
「シャトレ駅まで行きたいのですが」
まずは、バリアフリー対応の改札からエレベーターでホームへ。
フランク・マイユさん
「エレベーターはよく故障します。そうなると我々はもう諦めるしかありません」
駅員が車いす用のスロープを設置、電車に乗り込みます。
スロープの要らない新型車両が順次導入されていますが、完全に入れ替わるのは2026年以降になるそうです。
シャトレ駅に到着しました。地下鉄も含め、複数の路線が乗り入れるパリでも最大級の駅です。
フランク・マイユさん
「(Q.地下鉄は5路線、どれでも乗れる?)まさか。そうなればいいんですが、残念ながら、地下鉄14番線しか乗れません」
このシャトレ駅からコンコルド駅までは地下鉄1番線で直接行くことができますが、1番線に乗りかえるためには階段を使わなければなりません。パリには合わせて309の地下鉄の駅がありますが、バリアフリーが整っているのはその中で最も新しく整備された14番線のたった13駅しかないのです。
そこで、シャトレ駅から14番線に乗ってマドレーヌ駅に向かい、そこからコンコルド広場までおよそ400メートル、車いすで移動します。1番線に乗っていれば5分で着くはずですが、ここまで23分かかりました。
フランク・マイユさん
「見てもらったように、パリの公共交通機関はとても複雑です。道を知らなければ移動はとても大変です」
車いす利用者に優しくないパリ。原因は行政の消極性だと専門家は指摘します。
APFフランスハンディキャップ パスカル・リブ 会長
「現実には、バリアフリーの問題は50年以上も進展していません。『オリンピックが近づいているのに準備不足』と言いながら、ほとんど何もしようとしないのです」
パリの地下鉄運営会社はオリンピックまでにバリアフリーの駅を35まで増やすとしていますが、開会式までは残り3か月。どこまで改善されるのでしょうか。
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