■ロシアがISS離脱へ その影響は「輸送手段」「地球への落下」?


ところがウクライナ侵攻で、ロシアの宇宙開発企業がISSからの離脱を表明。具体的な時期は未定としていますが、離脱によってどんな影響が出るのでしょうか。

その一つが「宇宙飛行士の輸送手段」です。アメリカのスペースシャトルが退役した後、ロシアの「ソユーズロケット」に頼ってきましたが、その輸送手段を欠くことで、緊急時に帰還させる計画などの見直しが迫られます。

もう一つの懸念が「ISSの地球への落下」です。ISSには高度を維持する機能があり、実はロシアが管理しているんです。今年3月、ロシア側がISS落下の予測範囲を公表。黒い線の内側で、ほとんどの国が含まれています。宇宙開発企業の前社長は、今の経済制裁に反発し、
「我々との協力関係を遮断した場合、ISSの落下を誰が救うのか」と脅しとも取れるメッセージを出しています。

一方、6月には、アメリカの補給船で高度を上げる実験に成功していることから、山崎さんは「ロシアが離脱してもISSが落下する可能性は低い」と指摘します。

■中露の関係強化で"分断"が深まるか

そのロシアが、関係をより強めようとしているのが中国です。中国とともに2035年までに、月面に短期滞在できる村をつくる構想も打ち出しています。

宇宙を舞台にしても、東西の分断はますます深まりそうです。

(サンデーモーニング 2022年7月31日放送より)