3日に沖縄県内で発表された津波警報。車での避難による渋滞が各地で相次ぐなど”車社会沖縄”の課題が浮き彫りとなりました。
こうした中、宜野湾市の県道では渋滞で動けなくなった車を避難させるため、全ての車線を避難する方向に向けて一方通行にするという対応がとられました。
その背景には現場の警察官のとっさの判断がありました。

3日に沖縄で発表された津波警報。多くの人が車での避難を選択し、各地で渋滞が発生しました。
避難した人(那覇市内)
「避難は早くやらないといけないなと思ったんですけど、もう道が渋滞で動かなかくなっていたので、そこが少し不安でした」
慢性的な交通渋滞を抱える沖縄。災害時における大きな課題が浮き彫りとなりました。
上江洲まりの記者
「中でも深刻な渋滞が発生したのが、ここ宜野湾市伊佐の県道81号線です。その解消の鍵となったのは、ある警察官たちのとっさの判断でした」
宜野湾市の真栄原交番に勤務する大城巡査部長、友寄巡査長、阿嘉巡査の3人です。
3人は当時、市内でパトカーによる避難の呼びかけを行っていました。
大城直也巡査部長
「沖縄本島にも津波が到達する時間が迫っていたので、高台で交通誘導するため伊佐交差点に向かいました」

そこで3人が目の当たりにしたのは、進むことができず立往生する車の列。

大城直也巡査部長
「もういくしかないと思いました。僕らもあそこの伊佐西交差点で渋滞に巻き込まれたとき、ああもう死ぬんじゃないかなと思いがあり、早めに交通規制しないとこの人たちみんな(津波に)巻き込んでしまうと思って、今回4車線を上り車線にあてるために交通規制を実施しました」
道路交通法第6条第4項では、こうした緊急時においては現場の警察官の判断で交通規制を敷くことができると定めています。
3人は手信号による交通規制によって、全ての車線を高台の方向へ向かうよう切り替えました。
友寄聖巡査長
「皆さんの協力あって交通規制うまく実施できたんじゃないかなと思います」
大城巡査部長の指示を受けた2人。県民を守りたいという思いは同じでした。
友寄聖巡査長
「情報によるとその3メートルの倍までは考えられるっていうことだったので、6メートルだったらこの付近もあぶないのかなという風に判断してたので、指示に関してはやるしかないというような判断でしたね」
阿嘉尚桐巡査
「交通事故を起こさないように一刻も早く高台に上がらせるように避難誘導するように心がけました」

規制が行われた、伊佐交差点から喜友名交差点までの約500メートルの区間は、国道58号から高台へと抜ける道。津波到達予想時刻が迫る午前9時40分からの40分間、全車線を高台方面へ一方通行に規制することで、それまでの渋滞が解消され、この40分間でほぼ全ての車が通り抜けることができたといいます。

警報が発表されている間、警察に寄せられた地震や津波に関する通報は、3日正午時点で42件。その大半が「渋滞で車が動かない」といった内容でした。
大城直也巡査部長
「警察官だけではちょっと厳しいので、役場や関係機関と連携して素早く交通規制を実施して高台に避難させることが重要だと思っています」
<記者のMEMO>
今回は交通規制によってスムーズに避難誘導することができましたが、こうした対応はあくまでも緊急的な措置に過ぎず、必ずしも毎回うまく避難できるとは限りません。
各自治体では(1)役場や学校などへの「一時避難」(2)津波避難ビルなどへの「垂直避難」といった、車以外による避難も呼びかけています。
今回のような混乱を避けるためにも、ご家族や職場などで、地域の避難先を確認してみてはいかがでしょうか。