おととし3月、福島県沖を震源とする最大震度6強の地震で脱線した東北新幹線について、国の運輸安全委員会が事故の調査報告書を公表し、脱線の原因は地震の揺れで車輪が浮き上がったためだと推定されると結論づけました。

おととし3月、宮城県、福島県で最大震度6強を観測した地震にともない、福島ー白石蔵王駅間で東北新幹線の「やまびこ223号」が、17両編成のうち、16両が脱線しました。

事故からおよそ2年たち国の運輸安全委員会はきょう、事故の調査報告書を公表しました。

報告書によりますと、「やまびこ223号」は全部で68ある車軸のうち60の車軸が、レールから外れる「脱線」した状態でした。

そのうち先頭車両などの10の車軸は脱線した車輪がレールから大きくずれるのを防ぐ、「逸脱防止ガイド」がレールを乗り越えてしまう、「逸脱」した状態だったということです。

こうしたことから脱線や逸脱の原因は、まず、地震の強い揺れで車輪が浮き上がった際にレールが横移動したことで脱線し、その後も横揺れが続いたことで、「逸脱防止ガイド」もレールを乗り越えて、逸脱したと考えられると結論づけました。

一方で、脱線の原因となった地震のおよそ2分前に発生した地震で列車が停止した状態だったことや、逸脱していなかった車軸では「逸脱防止ガイド」が機能していたため、「被害拡大を防止できたと考えられる」としています。

また、運輸安全委員会は先頭車両の車軸が逸脱していたことについて、走行中に逸脱すると前の車両とのつながりがないことから大きく逸れて被害が大きくなる可能性があるとして、今後、研究や技術開発をすすめ、逸脱を極力させない対策を実施することなどを求めています。