日銀はマイナス金利政策を解除し、17年ぶりの利上げを決定。会見で植田総裁は、大規模緩和策は役割を果たしたと述べた。

日銀17年ぶり利上げ 植田総裁「大規模緩和 役割果たした」

異次元金融緩和の終結宣言は、いつになく強い言葉で始まった。

日本銀行 植田和男総裁:
賃金と物価の好循環を確認し、2%の物価安定の目標が、持続的・安定的に実現していくことが見通せる状況に至ったと判断した。これまでのイールドカーブコントロール(長短金利操作)、およびマイナス金利政策といった、大規模な金融緩和政策緩和は、その役割を果たしたと考えている。

日銀は-0.1%だった政策金利を0から0.1%に引き上げ、国債を買い入れることで実施してきた長短金利操作、リスク資産の買い入れなど、異次元緩和の枠組みを撤廃した。一方で、長期国債についてはこれまでと同程度(月額6兆円)の買い入れを続けると表明。長期金利が上昇した場合、増額や指値オペも実施するとしている。市場の最大の関心事である、次の利上げのタイミングについては…

日本銀行 植田和男総裁:
まだ(物価安定の)2%には多少距離があるので、そのギャップに着目すると普通の金融政策を行う上でも緩和的な環境を維持することが大事だという点は留意しつつ、普通の金融政策を行っていくことになる。

異次元緩和の終結を後押ししたのは、賃上げだ。決定会合直前の3月15日。1回目の回答集計の賃上げ率は5.28%と33年ぶりの水準となった。

岸田文雄首相:
前向きな経済の動きをさらに確実なものとする観点から、緩和的な金融環境が維持されるのは、適切であると考えている。

ただ、金融政策の転換には、異次元緩和の“負の遺産”も立ちはだかる。10年以上続いた異次元緩和で、日銀の国債保有残高は、発行残高の過半を占める585兆円。利払いを考えると、長期金利の上昇は何としても避けたいのが本音だ。