剣道部の顧問だった教諭の男が練習中に生徒を突き飛ばすなどして重傷を負わせたとして、逮捕されました。男は「指導の一環だった」などと容疑を一部否認しています。

きょう送検された茨城県桜川市の中学校教諭・谷中達也容疑者(37)は、おととし10月、当時、剣道部の顧問だった桜川市立桃山学園義務教育学校で部活の指導中、中学1年の男子生徒を突き飛ばすなどして重傷を負わせた疑いがもたれています。

市の教育委員会などによりますと、谷中容疑者と男子生徒は、一方が相手を攻撃し続け、一方はそれを受け続ける「かかり稽古」と呼ばれる稽古をしていました。

谷中容疑者と男子生徒は攻守を交代しながら3回、あわせて12分間ほどかかり稽古を行ったといいます。

生徒は1回目のかかり稽古中、谷中容疑者からの攻めを受けて背中から倒れ込みますが、稽古は続行。5分の休憩後、2回目の稽古でもさらに谷中容疑者から攻撃を受けて2~3回倒れ込みますが、3回目のかかり稽古も行われたということです。

生徒は頭を打ったことによる「脳脊髄液漏出症」と診断され、事件から2年あまり経った今もほとんど登校できず、オンラインで授業を受けているということです。この病気について専門家は…

菅原クリニック 菅原道仁 理事長
「頭痛・めまい・吐き気がひどくて動けないということですよね。電車に乗ったりとか、移動もままならないですから、トイレ行くのも大変な思いをしている方もいらっしゃるんじゃないでしょうか。長く治療にかかる人もいらっしゃいます」

剣道の指導に詳しい専門家は「行き過ぎた指導の可能性も考えられる」と指摘します。

筑波大学 有田祐二 准教授
「感情が入っていると、事故になる場面は想像つきます。剣道では転倒させるということを基本しないので、何度も何度もとなると、故意にやっていることになりますから、いわゆる行き過ぎた指導になっているんじゃないかと思います」

谷中容疑者は「指導の一環だった」などと容疑を一部否認しているということです。