20年以上家にひきこもっていた上田市の男性。
一歩を踏み出したきっかけは写真でした。


上田市のサントミューゼで3月14日から4日間、ひとりの男性の写真展が開かれました。

渡辺環(たまき)さん50歳。

市内で母とふたりで暮らし、20年以上ひきこもりを経験しました。

外に出られるようになったきっかけは、写真です。


先生:
「これなんかよくできた家族みたいな感じで。これはうちに来るプロの方がいいシュチュエーション撮ったねって褒めてくれた」

2年前に、生活や仕事など日常に困難を抱える人を支援する県の「まいさぽ」を訪れた際、職員から写真講座を勧められました。

それ以来欠かさず月に1度、講座に通っています。

渡辺さん:
「感動します、なんか泣きたくなるようなくらい。こんなに撮ってたんだっていうのが」

写真展の5日前、渡辺さんが訪ねたのは、市内にある山岸春夫さんの写真工房です。

山岸さんは、写真の仕上げや展覧会のプロデュースを行う傍ら、渡辺さんが通う写真講座の講師を務めています。

この日は、展示する作品を一緒に選びました。

山岸さん:
「うんと忙しくて、ちょっとなんか体も疲れているっていう人たちが見たら、ちょっとほっとする写真。ああなんかこんなところ歩きたいなとか、そういうところにひき込まれる部分もあったり。すごく素直なんですよ撮り方が。感じるままに撮っているっていう」

渡辺さん:
「本当に僕はこれいいなっていうのをただ撮っていただけなので、ここまで褒められてっていう・・・」(沈黙)
「ごめんなさい緊張のあまり言葉が出てこない」

講座に通い始めるまで、写真の勉強をしたことはありませんでした。

今では毎日のように撮影に出かけ、1日100枚以上シャッターを切っています。

そんな渡辺さんに写真展の話を持ち掛けたのが山岸さんです。


山岸さん:
「本当に初めて会ったときは下をむいちゃってね、なかなか自分の自己主張をできなかった部分があったけど、写真撮ってだんだん顔つきも変わってきたしね。うちはこれで頑張ったんだよっていうのをアピールしてほしいなって」