コロナの感染が拡大する一方で、おととい(25日)日本国内でも初めて感染が確認されたのが「サル痘」です。専門家は「いつ岡山・香川で感染者が出てもおかしくない」としたうえで、「基本的な感染対策で予防できるので冷静な対応を」と呼びかけます。

(岡山理科大学獣医学部微生物学 森川茂教授)
「岡山香川から海外に行く人も当然いますし、海外から岡山香川に帰ってくる人も当然いるわけですから、東京はたまたま人口が多く海外から来る人も多いので最初の患者が出たと言うことですが、どこで出たっておかしくはない」

こう話すのはサル痘に詳しい、岡山理科大学獣医学部の森川茂教授です。サル痘は元々、アフリカに生息するリスやネズミなどのげっ歯類がウイルスを持っていたとされています。

今年5月以降、欧米などを中心に70を超える国や地域に感染が拡大しWHO=世界保健機関は23日、「緊急事態」を宣言しました。国内でもおととい東京に住む30代の男性への感染がはじめて確認されています。

(岡山理科大学獣医学部微生物学 森川茂教授)
「症状は最初に感染してから5日~2週間くらいの潜伏期間、最大で21日と言われていますが」

「まず悪寒・発熱、具合が悪くなって熱が出たり、あと筋肉痛が出たり、“だるい”といった症状が出てその後、1日から数日後に発赤が皮膚に出てそれがだんだん水ぶくれ=水泡と言いますが、水が溜まったようなかたちになって、それが中が膿みたいな形=膿疱といいます」

「最終的に2週間から4週間でかさぶた化して、それが落ちると回復する。通常は軽症で治ることがほとんど。」

人同士の感染経路については、感染した人の発疹や体液などへの接触、至近距離で長時間飛沫を浴びるなどがありますが、普段行っている新型コロナへの対策で予防できると言います。

(岡山理科大学獣医学部微生物学 森川茂教授)
「日本はコロナに対する対策で皆さんマスクをしていますし、手指の消毒はどこに行ってもしていますし、レストランなどではお客さん帰った後にテーブルも消毒している、そういうことを徹底していればサル痘の感染防御にも有効である」

「実際に(世界で)患者が1万8000人くらいに増えている中でも飛沫感染が明らかだということは報告されていません。患者と皮膚と皮膚が接触するというような濃厚な直接接触があった場合に感染しているというのが、今の感染経路の主体」

現在、日本国内で承認された治療薬はありませんが、厚労省はあさって(29日)専門部会を開きサル痘の予防に効果が高いとされる、天然痘のワクチンを使えないかを審議することにしています。森川教授は“過度に恐れず冷静な対応を”と呼びかけます。

(岡山理科大学獣医学部微生物学 森川茂教授)
「まずだれとも接触してないのに“熱が出たから”あるいは“具合が悪くなったからサル痘だ”ということはありません。感染するリスクがあった上で何らかの症状が出た場合は医療機関等に相談すれば検査できるという体制が日本ではできています」

森川教授によりますと、サル痘ウイルスには2系統ありコンゴ盆地型と呼ばれる系統は致死率が10%ほどなのに対し、現在、世界で広がっている西アフリカ型の系統は致死率1%程度で通常は軽症で治ることがほとんどだということです。