「トー横に殺された」
2023年、ホテルから転落し亡くなった16歳少女の父親の言葉です。少年・少女らのトラブルが相次いでいる新宿・歌舞伎町の「トー横」に、なぜ娘は通っていたのか。真相を求める父親の姿を追いました。
娘を亡くした父「トー横に殺された」
あきこさんの父 浩三さん(41)
「なんでこうなったのかなって。正直なんでなんだろうとしか思えないんですよ」

男性とその妻が見上げる先は、あるホテルの屋上。
夫婦の娘・あきこさんはここから転落し、16歳でこの世を去りました。

父・浩三さん
「遺体を見た時、下半身はありませんでした。衝撃で砕け散ってしまったんでしょう」

中学1年生のころから不登校がちだったあきこさん。
通信制の高校への進学を機に両親の反対を押し切って都内の自宅を離れ横浜市の学生寮で暮らし始めました。

そして1年後の2023年3月。突然、交際相手の男性と一緒にホテルから転落。遺体から薬やお酒は検出されず、自ら死を選んだとみられています。
なぜ娘は死を選んだのか。

浩三さんがあきこさんのスマホを復元し、友人に連絡してみると…

父・浩三さん
「初めて全部知ったという。あきこも交際相手もトー横キッズだと教えていただいた。トー横に殺されたという感じですね」
“犯罪の温床”と報道されている「トー横」。娘はどうしてそんな場所に行ったのか。
浩三さんは自分の知らなかったあきこさんの姿を知ろうと「トー横」に通います。

父・浩三さん
「トー横にいた女の子捜していてこの子見たことないかな」
少女
「あ、なんか見たことある」

あきこさんを知る少女
「2人とも死んじゃったのか…嘘だったらよかったのに」
子どもたちからは、あきこさんが犯罪の被害にあっていたというショックな話も。
しかし、最も親しくしていた少女の話には浩三さんが知る優しいあきこさんの姿がありました。

父・浩三さん
「OD(オーバードーズ)して気持ち悪くなってる子をあの子が介抱してたっていう。本人が人助けをやっていたというのはちょっと嬉しかった」
半年通っても、あきこさんが「トー横」に行った理由や交際相手と知り合った経緯ははっきりと分からないまま。
しかし、子どもたちの話を聞く中で、浩三さんの思いにも変化が…

父・浩三さん
「確かに(娘は)トー横に殺されたけど、トー横をなくせば解決するわけではない。せめて一矢報いるならば、トー横キッズを何とかしたいなっていう」
「トー横」に集まる子どもたちの多くは、あきこさんと同じように不登校の経験があり、居場所を求めているようでした。